アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
たとえ僕が ‐白川side‐4
-
それからあいつはどんどんイジメられていく。
外ばきも上履きも体操着も制服も、なにもかもがボロボロで。
あいつ自身ボロボロで。
でも、それでもあいつは、困ってるやつを助けたり、先生の手伝いしたり。
なにも変わることはなかった。
しかも、それでだんだんとあいつがやったわけじゃないんじゃないかとかいい始めるやつまで現れた。
あいつの周りには友達が増えていった。
外ばきをボロボロにしたやつは、別の外ばきを買って謝り。
上履きをボロボロにしたやつは、別の上履きを買って謝り。
体操着をボロボロにしたやつは、別の体操着を買って謝り。
制服をボロボロにしたやつらは、金を持ち寄って別の制服を買って謝った。
あいつは謝りに来た奴ら全員を許し、楽しそうに会話している。
僕は許せなかった。
僕の計画を潰したあいつが許せない。
どうしてそんな風に笑っていられる。
どうしようもなく、イライラした。
そんな中、ごみ捨てを僕と有村が任された。
僕は無言で、さっさとごみ捨て場に向かう。
有村も無言でついてきて、ごみ捨て場につくと無言でゴミを捨てた。
さっさとこいつから離れて、作戦を立てようと思った。
けれど、有村はそれを止める。
「なぁ、白川」
「なに? どうかしたの?」
いつもの猫かぶりで振り返る。
すると、有村はいつものスカした顔。
「おまえだろ。俺を嵌めたの」
「…………なんのこと? 僕はそんなことしてないよ」
「おまえ笑ってたぞ。俺がみんなに疑われて連れていかれるとき。すっげぇ楽しそうにさ」
「………………」
迂闊だった。
あまりにも上手く行き過ぎて、調子に乗ったようだ。
こんなバレ方をするなんて。
「でも、証拠なんてないよ?」
「そうだな。おまえはまるで仮面を被った人形みたいな奴だもんな」
「……は? なにそれ」
「白々しい笑顔を振りまいて、瞳だけは冷たく鋭い。掴みにくい奴に思えるが、癖の多い、まるで溶けかけた氷みたいな奴」
黒子とは違う意見。
でも、なんとなくそれが当てはまっているような気がした。
黒子のも、あっていたように思えるが、なにか足りなかった。
有村の言葉は、的を射ていたようだ。
それに、白川は嗤う。
「あははははは。ムカつくなぁ……。ムカつく奴ばっかりだ……。なんで信じるかな。普通信じないでしょ」
「それがおまえの素か」
「だからなに? おまえムカつくから潰すことにしましたー! 僕のことを好きにならないなら消えるか死んでよね」
そういうと、有村の顔があからさまに歪んだ。
「あははははは。怯えろ。苦しめ。あははははは」
「なんでそんな泣きそうなんだよおまえ」
「は!?」
「泣きそうな目してるぞ」
まただ。
黒子にも似たようなこと言われた。
なんで、そんなことをいう。
俺はそんな目をしていない。
ムカつく。
ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく。
「おまえ殺すよ? 言っとくけど、前科がある君と、優等生な僕とじゃ、どっちを先生が信じるか目に見えてるでしょ?」
「そうだな。ただ俺は、おまえこことが気になっただけだから」
そんなことを言ってくる有村に、僕は呆れて言葉も出ない。
そして、すべてを無視してその場を去った。
有村はなにかを言っていたが、もはや聞く耳などない。
僕は静かに、有村を潰すことだけを考えた。
この会話を聞いている人間がいるとも知らずに。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
81 / 116