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たとえ僕が‐白川side‐7
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いままで暴行されていたのか、腕に青あざが見える。
顔に傷がないのは、いじめてるとバレるのが怖いから避けられているからだろう。
有村は教室に入ると、僕にまっすぐ近づいてくる。
「泣いてんの?」
「な、泣いてなんかない。おまえこそ、泣いてたんじゃないのか? 友達にまたいじめられて」
そう言うと、有村はきょとんとした顔で返す。
「俺は、泣かないよ」
言い切る有村は、微笑んだ。
「だってさ、いじめられてる俺より、いじめるように仕向けたおまえのほうが泣きそうなんだもん。泣けないよ」
「は!?」
「俺はいつでも慰める側なんだよ」
頭に手を乗せて、頭を撫でる有村。
僕は思考が追いつかず、呆然と有村を見上げた。
そして、一気に熱が顔に集まる。
「お、おま、なにを!?」
「ん? 慰めてるんだ」
「は!? 恥ずかしいことすんな!」
手を払い除けて、顔を背ける。
「言っとくけど、そんなことしても僕は謝らないからな」
「あぁ。いいよ」
あっさり頷く有村に、僕は驚いた。
「俺はおまえの心の底からの笑顔が見たいから、謝らなくてもいい」
なんて、いい笑顔で言ってきやがる有村に。
僕はもう、驚きを遥か遠く通り越して、呆れてしまった。
「口説いてんのおまえ」
その言葉は、嫌味を含めたものだった。
なのに、
「あぁ、そうだ」
なんて頷いてくる有村。
もうわけわからない。
「おまえ、ホモだったのか……?」
「うーん、少なくとも、おまえ以外に男が気になったことはねぇな」
もう、開いた口が閉じなくて。
僕はとりあえず、逃げたした。
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