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波乱
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〔 彼方 side 〕
ようやく噂にも慣れてきた頃 、 また新たな噂が広まった 。 俺もそうだけど 、 周りにいるさとちゃんや龍ちゃん、凛のことも悪く言われている 。
「 あいつの周りにいる三人もホモ野郎 」
ひそひそと噂されることが 、 前よりも増えた 。
最初の頃は悔しくて言い返していたけど 、 余計に噂は大きくなることを知ってそれも辞めた 。
さとちゃんや龍ちゃんの周りにいた友達は 、 当然のように距離をとった 。
自分たちにも噂が付いてくると思ったからだと思う 。
みんなは気にするなって言うけど 、 俺は悔しくて仕方がない 。
「 なんで … 、 」
どこから間違えていたんだろう 。
どうしてこんなことになったんだろう 。
窓側の椅子に座って 、 一人で考えていた 。
ほんとはさとちゃんと同じ授業なんだけど 、 今日は家の用事があるからってさとちゃんは欠席している 。
ううん 、 一人でも大丈夫 。
自分を奮い立たせるように前を向くと 、 いつの間に来たのか横峯の姿 。
いつものように 、 優しい顔だ 。
「 …… いつから 、 」
凪 : 「 彼方がどうしてって落ち込んでるところから 。 今日は悟がいないのか? 」
「 うん 、 家の用事だって 。 」
凪 : 「 なるほどなぁ 。 ここ 、 空いてる? 」
俺の横を指さして 、 返事を聞く前に椅子に座った 。
少し心細いと思っていたから 、 横峯が来てくれて嬉しい 。 でも 、 あまり近づいて欲しくもない 。
俺のせいで 、 迷惑がかかるから 。
「 横峯 、 一緒にいない方がいいと思う 。 」
凪 : 「 噂だろ?俺は気にしないし 、 友達と話してるだけだ 。 」
「 でも … 」
凪 : 「 そんなことより 、 美味いラーメン屋見つけたんだ 。 大盛り無料だし 、 食いに行こうぜ 。 」
ほら 、 と肩を組む 。
ほんとに気にしてないのか 、 俺を慰めようとしているのかは分からない 。
だけど 、 心が救われた気がする 。
人のことを気遣えるから 、 友達が多いんだろうな 。
横峯はすごい 。
「 友達も 、 一緒にいいか? 」
凪 : 「 勿論 。 大勢で行った方が 、 楽しいし 。 」
授業の合間に 、 こそこそと喋り合う 。
なんだか高校生に戻ったようで 、 楽しかった 。
さとちゃんと同じクラスになったり隣の席になったりもしたけど 、 真面目に授業を受けてたからこんな事は出来なかった 。
少し憧れていたのが本音だったりもする 。
「 横峯は 、 好きなやつ居ないのか? 」
凪 : 「 いるはいるけど 、 叶いそうにないんだよな 。 」
「 え 。 こんなにイケメンで性格も良いのに? 」
凪 「 …… まぁ 、 色々ね 。 」
「 ふ〜ん 、 横峯も大変なんだな 。 」
こんな中学生が好きそうな恋バナも 、 前までは全く興味なんてなかったのに 。
宮原と一緒にいるようになって 、 こういう話も好きになった 。 恋愛ドラマを見たり 、 ネットで恋愛占いをしたり 、 積極的に関わりたいと思うようになった気がする 。
俺の数少ない友人は 、 片思いをしているみたいだ 。
てことは 、 俺と一緒にいたら余計にやばいんじゃないだろうか 。
真面目に授業を聞く横峯 。
その隣で 、 俺は悶々と考えていた 。
授業が終わると 、 昼食を求めに席を立つ人がほとんどだ 。 それは横峯も同じらしく 、 腹減ったと笑っている 。
俺はこのまま 、 じっと待っていなければ 。
急にいなくなると 、 凛と龍ちゃんが気持ち悪いほどに心配してくる 。
それも嬉しいんだけど 、 過剰な反応は怖い 。
凛 : 「 彼方 、 昼 。 」
龍 : 「 お待たせ〜 、 お腹空いたね 。 」
「 凛 、 龍ちゃん!また一緒だったのか? 」
龍 : 「 政治とってないんだっけ 。 被る授業が少ないよね 、 俺と彼方 。 」
「 そうなんだよ … 。 」
最近 、 凛と龍ちゃんは仲良くなった 。
授業が被るのもそうだけど 、 連絡先を交換してメッセージを送りあっているらしい 。
凛から送ることはないけど 、 送られてきたら返すみたい 。
前までは俺やさとちゃんがいないと気まずそうにしていた凛も 、 コミュ力が高い龍ちゃんにやっと心を開いた 。
そんな光景が 、 すごく嬉しい 。
凪 : 「 あ 、 この前の … 。 」
「 なぁなぁ 、 横峯も一緒に食べよう 。 さとちゃんは居ないけど 、 すぐ仲良くなれるからさ 。 」
凪 : 「 俺は構わないけど 、 そっちの二人は? 」
龍 : 「 俺もいいよ 、 みんなで食べた方が美味しいもんね 。 」
凛 : 「 任せる 。 」
「 じゃあ決まり!俺 、 食堂で美味いの見つけたんだ 。 」
こうやって 、 凛も友達が増えたらいいな 。
誰かと仲良く話してる姿を見るのは 、 すごく好きだ 。
もちろん俺と話してくれる凛も好きだし 、 少し嫉妬しちゃうけどさ 。
でも 、 凛のいい所を知ってくれる友人がいると 、 やっぱり心強い 。
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