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第二話
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成績を伸ばしたいための一対一の英語指導ならば、むしろ喜んで請け負うが。何故「個人授業の続き」が、生徒から椅子に縛り付けられて、衣服を脱がされている教師の図、になるんだ?
訳が分からないまま、西辻の着ていたワイシャツがパサッ、と床に落とされ。次に柿本の指は、素肌の上のタンクトップを脱がそうとする。だが、手首を後ろで固定されているため、タンクトップはなかなか西辻の身体から剥がれない。
柿本はもどかしそうに、チッ、と舌打ちをして。脚元に置かれたバッグをごそごそと探ると、ハサミを手に取り、タンクトップをジョキジョキと切り裂き始めた。
「ちょっ……おい! ちょっと! やめてくれよ……」
ハサミで下着を切り裂かれて、西辻の上半身はどんどん露わになっていく。
「男性教師の素肌を晒して、何が楽しいんだよぅ」
半ば泣きながら問い掛けると、柿本はじろり、と上目遣いで睨みつけてくる。
「だって……そうしねーと直に触れねーじゃん」
当たり前の事を訊くな、みたいに言われて。そのうちタンクトップは、西辻の腰回りに引っ掛かった布切れと化した。
ふう、と一息ついて、ハサミを床に置いた柿本は、いきなり西辻の脇腹をゴシゴシと擦ってくる。
「ひあっ!?」
思いがけない行動に、奇妙な声が出た。一体こいつは、何を考えているんだ?
西辻の過剰な反応にも全く気にせず、柿本の指先は遠慮せず裸の上半身を触ってくる。脇腹から、へそ、肋骨をなぞって、乳頭をぎゅっと摘まれた。
「ちょ、ちょっと……頼むから、止めてくれっ」
違和感と痛みから、西辻はガタガタと椅子を動かすが、柿本は何も応えず。さらには舌でベロリと頬を舐めてきたり、屈んで頬ずりをしてきた。
しかしその動作は……セックスへの愛撫……というよりも、母猫に甘える仔猫みたいだ。
「おっ、おい! 柿本っ!」
本気の大声を出すと、やっと柿本は動きを止めた。
「もしかして、先生はこの間の個人授業で、何かおまえの気に触る事したか? これはその報復か?」
いい加減に西辻も余裕を無くして、教師から生徒への口調を消して問い掛ける。
「ほうふく? 俺はあんたを気に入ったから、これから犯そうとしてるんだけど」
「だってさぁ……犯す……って、その、あの、性行為に持っていく、って意味だろう?」
泣きそうに問うと、柿本は真面目な表情で頷くので。成り立たない会話がまた怖くなる。
そして柿本は、西辻のズボンのベルトをガチャガチャと外して、ファスナーも勢いよく下げる。
「尻……あげてよ。脱がせらんねーじゃん」
鋭い視線で睨みつける瞳と、掠れた低い命令口調から、反射的に腰を動かしてしまった。その途端に、思い切りズボンを膝の辺りまで下げられた。その勢いで、トランクスも一緒にずり落ちて。西辻は下半身の衣類も剥がされて、全身がほぼ裸と化した。
「なっ……おい! 止めないかっ!!」
もはや柿本は制止文句など聞く耳を持たず。西辻の下半身への愛撫を始める。太ももを揉んだり、毛の生えた脛を摩ったり、尻を拳でつついたり……やはり愛撫とは思えない。
いよいよ西辻の性器に触れた柿本は、はっとした表情で、汚物に触れた手の平をまじまじと見つめる。
やれやれ、やっと馬鹿馬鹿しい行為だと気が付いたか。
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