アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
高校生雅視点 変化
-
その日は舌の鈍痛と、物思いに耽っていたせいで
眠れず、諦めて起き出すことにした。
蛍光灯は眩しいので間接照明を点ける。
窓を開け、煙草に火をつけて、椅子に腰掛け、
水槽の魚を眺める。
隣同士の水槽で、紫と紺のベタが、向かい合うように
鰭を揺らめかせて泳いでいる。
───「みや、髪何色がいい?」
「んー、、紺とか。」────
髪を紺色にしたのは、優と俺の影を、このベタ2匹に
垣間見ていたからだった。
ベタは漢字表記にすると闘魚。
同種を同じ水槽に入れると、美しい鰭を翻し、
何方かが果てるまで闘うんだそうだ。
水底に沈んだような、暗闇を揺蕩うような生活を送って
いた俺を、息苦しい水槽から救い出してくれた人。
美しさと優しさの裏に、息苦しさと、それに対する反抗心を隠した、綺麗で優しいけれど強い人。
最初は紺のベタ一匹だった所に、紫のものを足したのも、
この美しい魚が、優みたいだと思ったからだ。
この髪色も、開けたピアスも、優に対する執着の現れだと、改めて気づく。
きっと見てみぬふりをしていた前兆は前からあって、
優から連絡が来ただけで頬が緩んだり、
たまに優が家に来られない時はひどく寂しかったり。
それはきっと、初めてできた心の許せる友人だからとか、
一緒にいる時間が長かったからだとか、ではなく、
俺に空いたまま塞がらない傷跡を、心の空虚を、欠損を、
許して受け入れてくれた彼が、既にどうしようもない位、
眩しくて、好きで好きでたまらなかったからだ。
どうしよう、気づいてしまった。
優が、好きだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
34 / 48