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高校生優視点 共犯
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朝方、煙草のベランダの戸が開く音がして目が覚めた。
しばらくベッドを転がるが、寝つけそうになかったので
諦めて起き上がる。
ベランダにいるなら雅のところへ行こうと部屋を出る。
雅の部屋の前に行くと、微かに煙草の匂いがした。
甘ったるいバニラ。
匂いの感じからして家の外で誰かが、というのではなく、雅が吸っているのだろう。
少し驚かしてやろうと思い、勢い良く戸を開ける。
「あ~雅君が悪い事してるうー!」
「なっ、、」
俺がチクるとでも思ったのか、慌ててタバコを消そうとする雅を制止する。
「あー大丈夫だよ誰にも言わないし。取り敢えず一本頂戴?」
俺も仲間である事を示そうと、手を出すと、雅が戸惑いながら箱を差し出してきたので、すっと一本抜き取った。
スウェットのポケットに入ったライターを取り出すと、雅は少し驚いた顔をして問う。
「優も吸うのか?」
俺は煙草に火をつけながら言う。
「うん。少しね。だから俺も共犯。」
「てか雅が煙草吸ってるのは家入ってすぐ気づいたけどね。」
「、、、、そうか。」
雅はふっと安心した顔をして、
「優はどうして吸い始めたんだ?」
どう答えようか迷ったが、昨日あれだけ雅の過去を聞いたのだから、俺も話さなければフェアじゃないような気がした。
「んー、うちの親二人ともまあまあ優秀な人でさ、それ故に俺の能力を過信してるっていうか、、、期待が凄いっていうか。ずっと息苦しかったんだよね。雅からしたら、
その程度でって思われるかもしれないけどさ」
「この髪の紫もその一環かな。美容師になりたいのは本当だけど、親から、見放されて、解放されたかったんだ。」
言いきって少し気分がすっきりとしたが、呆れさせてしまっただろうかという心配はあった。
すると雅は真っ直ぐな目をして、
「思わないよ。その程度でなんて。辛さも痛みも、本人だけの物なんだから。」
俺は少し笑って返す。
「雅にそう言ってもらうと、なんか救われた気がするよ。」
、、、本心だった。
今まで認められなかった苦しみだから。
傲慢だと、贅沢だと言われてもきっとおかしくはないはずだ。
それを認められて、許された気がした。
「そうか、奇遇だな。俺もだよ。」
雅が綺麗に笑った。
美しいと思った。
高1の初夏、俺は雅に恋をした。
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