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再発
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side 美谷(みたに 受付)
「あの…すみませんでした!!」
先輩に言われて院長先生に謝ろうとしたのだけど、副院長の飯窪先生に連れ出されてしまった。
本当は院長先生に謝らなきゃいけないけど飯窪先生にも謝ろう。
2人にとって大事な存在だって聞いてたから…。
「隼人くんのこと、聞きました。私が頼んだせいで…その……」
でもいざ謝るとなると、
腹黒そうな飯窪先生の前では萎縮しちゃう。
優しいけど苦手で…。
「うん、君が行けばこうはならなかったかもしれないね」
…めっちゃくちゃ怒ってるじゃん。まじで怖い。本当に怖い。
「はい。すみませんでした。でもっ、精神科にいると思わなくて…っ」
「うん。そうだろうね」
飯窪先生を怒らせるくらいのことをしたんだ。
全く怒らないことで人気の飯窪先生を…。
「あの…ほ、とに…」
やばい、怖くて泣きそう。泣いたらだめだよ、私が悪いんだから。ちゃんと誠意を見せなきゃ…。
「すぐに謝りにいかなかったこと、反省します。すみませんでした…すみません…」
こんなんで院長先生に謝れる…?
もう涙が落ちそうなくらい怖くて怖くて仕方ないのに…。
「すみま…」
「ごめんね、そんなに謝らないで」
え…?
だって、怒ってるから無言なんでしょ?
謝らないと…。
「あんまりね、状況を整理しきれてないからどう伝えるのがいいかなって考えてただけなんだ。ごめんね」
飯窪先生はみんながイメージするような優しい笑顔で微笑んだ。
「…………」
「桐生先生も言ってたけど、今回は君だけが悪いってものじゃないんだ。日常的に桐生先生への渡しものは隼人くんに持って行ってもらってたんだから当たり前になるのは当然だし、隼人くんもそれが嬉しかったと思う」
「…………」
「今回たまたま、君が頼んだタイミングが悪かっただけでもしかしたら違う日に別の人が頼んだらそうなっていたかもしれない。仕事を後輩へ頼むのは言ってしまえば自然なことで、間違いではない」
「…………」
「危険な精神疾患を患った患者を廊下に出られる状態にしていたこちらにも非があってね。君だけが悪いわけではないんだよ。もちろん、必要以上に頼み事をしてるとか使いっ走りにするのはダメだけどね」
「…………」
「だからまぁ、今回はみんながみんなそれぞれに改善すべきところがあるってことだね」
怒鳴られる覚悟で行ったのに真逆の対応で戸惑う。
もしかしてこの人院内で一番優しいんじゃないの?
おかげで堪えてた涙がボロボロと…。
「あーほらほら、泣かないの。桐生先生には僕から伝えておくから15分くらい休んで仕事に戻りな」
苦手とか思ってしまってごめんなさい…。
めちゃくちゃいい人でした。
「ぁい。ずびま"ぜん"」
はいどーぞとポケットティッシュをくれた飯窪先生にペコペコ頭を下げた。
「あーーーーれーーーーー!?何やってんすか!?」
飯窪先生の後ろから若い男の人が大きな声を出しながら近付いてくる。
やばい、空気読んでよ…!泣き顔見られたくないんだけど!
「うわー女の子泣かせてんすか?引くわー、鉄メンタルせんせー」
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