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正義感
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side 矢代
飯窪先生はいつも余裕でペラペラな変人だ。
何を言っても本気で怒る事はなく、最後は笑ってくれる。
それなのに。あの日の鉄メンタルはどこか余裕がなくて、どこか焦っているような。
いつも落ち着いてる人なのに自分でも気付かないくらい落ち着いてなくて。
違う意味で様子がおかしかった。
変人だからいつも変なんだけどそうじゃない何かを感じて、気付けば毎日ここに通ってた。
来る日も来る日も隼人の姿はなくて桐生先生は疲れ切っていた。
やっぱり何かあったんだなって。
だから聞いたんだ。
受付の人に『隼人休み?』って。
そしたらこっそり教えてくれた。
『精神科に入院しています』
精神科って聞いたときは、急に働き出したから前のやつが再発しちゃったのかなって思ったけど、飯窪先生がケントのこと聞くわ、桐生先生が疲れ果ててるわでピンと来ちゃったのさ。
だから直接聞いたろー。と思って。鉄メンタル先生の帰りを待った。
それでもやっぱり隠すから、そうなんだなって確信持っちゃったよね。
◇
「ケントのこと、思い出しちゃった?ていうかそもそも忘れてたんだな」
いい雰囲気のバーに男2人で入るとか。
しかも相手が鉄メンタルとか。
「いろいろあったからいろいろまとめて忘れてる。それがねぇ」
重症な精神疾患を患った患者にガラスを突き立てられたのをきっかけに思い出してしまったと。
「謝りに行くとか、死んで償うって言っててね」
「あいつ本当に飛び降りるから危ねぇな。でもそれってケントとアイツが会えば解決できるくね?」
………あぁ、それでケントのこと聞いてきたのか?
「そうしたいんだけどさ。あの子の前の主治医、酷かったじゃない。あっちの方まで思い出しちゃったらもっと酷くなるのかなって踏み出せないんだよね」
「村上のことは思い出してないんだ?」
あのクソ医者、まじでクソでしかなかったよな。
そん時助けられなくてごめん。
「多分…。どこまで思い出してるのか、まだ探り探りでね。それにケントくんも半年くらい帰ってこないんでしょ?」
「…………………」
「隼人くんってば誰に似たのか、めちゃくちゃ頑固な部分があるからね。謝るって言ったら謝るまで言い続けるし、…死ぬって言ったら…ねぇ」
桐生先生に似たんだろうけど。死ぬとか言わないでほしいな。
「村上のこと、思い出させるのは絶対に避けたい?」
「……できることならね」
「俺、ケントに話してみるよ。あいつ俺より頭いいからなんか思いつくかもしれない。それで、結果として村上のこと思い出させちゃったらごめん。先に謝まっとく。でも俺も暇な時は手伝いにくるからさ!隼人が悪くないってこと、何度でも伝えにくるから。ね!いい?」
「……………わかった。桐生先生にも伝えておく。ありがとうね、矢代くん」
笑うとイケメンなんだよな…。
普段が変人だから気付かないけど。
「トイレ」
「矢代くんっていつまでも少年だよね」
は?俺超大人じゃん。誰かさんみたいにヘラヘラしてねーし。
「で、いくら?」
「俺のスマイル100万円」
高すぎだろ。普通に。
「これで足りる?」
「はいおつり」
差し出した2000円をそっくりそのまま返された。
「…?」
「子どもはさっさと帰って寝なさ〜い」
「え?割り勘っつったじゃん!」
「はいはいスマイル100万の半分50万ね。おつかれ〜」
酔ってんの?いつも以上に何言ってるかわかんねぇ。
領収書ひらひらさせて帰っちゃったし。
俺めっちゃバカにされてね!?
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