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正義感
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side 飯窪
「おはようございます」
あれから1ヶ月間、毎日魁くんと隼人くんの部屋を回る日々を過ごした。
このまま状況は変わらず時間だけが過ぎるのかなって諦めかけていた俺と桐生先生。
「飯窪先生、お電話です」
「はーい。誰から?」
「皆川さんのお父様です」
魁くんパパねえ。ひとり親家庭の申請が通ってお見舞いに来れる日は増えたけどその分、魁くんの様子を見ると辛いみたいで…。
最近はまた減っちゃったんだよなぁ。
「もしもし〜。お電話代わりました飯窪です」
『…見舞いにも行かず電話口ですみません。実は…新しい仕事を始めようと思いまして』
しゃがれた声で謝るお父さん。転職ってことでいいのかな。わざわざこっちに言わなくていいのに…。
『海外赴任しようと…』
「海外赴任?」
え?それ大丈夫?
『と言ってもそんな大袈裟なものではないんです。ほんの数ヶ月行くだけですから』
「はぁ…そうですか…」
『海外に行く間、そちら様に息子をお願いしたいと思いまして。あぁ、もちろん入院費やその他諸々はお支払いします』
なんか…変な感じ。海外赴任っていうくらいだからまぁ給料はいいんだろうけど…。
お見舞いに来るためのひとり親家庭手当を別のところで有効活用しているような…。
「…分かりました。魁くんに何かあった場合に連絡が取れるようにだけお願いします」
『はい、もちろんです』
…なんか引っかかるな。
「と、いうことなんです」
魁くんパパの話を朝霧先生と桐生先生に報告すると2人揃って首を傾げた。
「海外って。息子の容体が安定したわけじゃないのになんでこのタイミングなんだ」
「普通は心配で海外赴任なんて断ると思うんですけどね」
「念のため、勤務先と会社の連絡先を聞いておけ。何かあってからでは遅い」
桐生先生はそう言ったけど、すでに手遅れだった。
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