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正義感
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side 隼人
毎日、毎日、キリちゃんにお願いしても絶対に教えてくれないし会わせてくれない。
思い出せないお前が悪い、苦しめって言われてるんだとようやく気付いた。
全部全部、俺が悪い。
俺が全部悪いんだ。
「入るぞ」
ノック音の後に聞こえるキリちゃんの声。
苦しめって言いに来た…。
誰を刺してしまったのか教えてくれないならせめて同じ傷を付けさせて。
償わせて、お願い。
「隼人。お前に会いに来てくれた人がいる。入れてもいいか?」
………殺し屋?やっと償わせてくれる?
もちろん入ってもらって。むしろ来てもらっちゃってごめんなさい。思う存分刺してください。
「昔、お前と同じ部屋に入院していた矢代と、」
矢代………………?
「その隣にいた…」
なんとなく見覚えのある矢代という人と。
その後に入ってきた人。
頬に大きな傷。
「………ぁ……っ……」
後頭部を思いっきり殴られたみたいな激痛が走った。
「隼人っ…!」
いろんな光景が走馬灯のように溢れてくる。
『殺してやる…!!』
「ちが…」
『殺してやる!!!』
「…だめ、違う!!!」
「隼人、落ち着け。落ち着いて話を聞くんだ」
『殺す!!!!!』
「やぁぁあああああ!!!!!」
頭がおかしくなる程自分の大きな声にびっくりする。
でも抑えられない。
思い出したくない、忘れていたい記憶が止まらない。
頭が痛い。耳が割れそう。
キリちゃんが何度も言っていた。
『思い出さなくていい』
この言葉の意味を、思い出して初めて理解した。
あれは俺を守るための最大限の優しさだった。
俺を苦しめるためじゃなかった。
こうなったのは全部、言うことを聞かなかった俺のせい。
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