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勇者の証
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「違う!そう!違うんだよ」
声が枯れ、一連の騒動を全て思い出し抜け殻となった俺の手を誰かが掴んだ。
「隼人は悪くない。むしろ、隼人は英雄だ!」
えい…ゆう…
頬に大きな傷を付けた男の人は俺の目を見て一生懸命何かを伝えようとしている。
「この傷が間違ってなかったことは既に証明されている!」
「これは俺が勘違いして飛び込んだんだ。隼人は俺を刺そうとして刺したんじゃない。事故だ!」
「だからと言ってこの傷を後悔したことはない」
「刺す相手が違ったら、一生後悔していただろう!」
「そこにいる雄大もそうだ。隼人が俺ではない誰かを刺したり、自分を傷付けていたら、それはすごく後悔する」
「俺でよかったんだ!!」
「隼人が悪いなんて一度も思ったことなどないよ!」
「大丈夫!!俺は生きている!」
「この傷に救われたことが何度もある!数えきれない!」
「むしろこの傷がなければ今の俺はいないだろう!」
「地元の子どもたちからはカッコいいなんて言われているんだ!羨ましいだろう!」
「元がへなちょこな分、大助かりだ!!」
正気を失った俺に分かりやすく、一つ一つ確実に伝えてくれる。
なんて、眩しい人だろうと思う。
「隼人はたくさん傷付いた!その痛みは計り知れない」
「同じ部屋にいながら助けられなかったこと、心の底から申し訳ないと思っている」
「だからもう傷付かなくていい。俺は、隼人の笑っている顔が好きだ。桐生先生のことを慕う君が好きだ」
「死にたいなんて思わないでほしい」
「俺に申し訳ないと思わないでほしい」
「この傷は、…」
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