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勇者の証
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「勇者の証なんだ!!!」
勇者の…証…?
「自分を奮い立たせる大事なトレードマーク!」
「この傷に申し訳ないものなんてひとつもない!」
「俺は生きている!隼人も生きている!」
「何を謝る必要がある!?」
「何を後悔する必要がある!?」
「何もないじゃないか!!」
………俺のために、なんで、こんな。
「…違う」
「違わない!間違いのない事実だ!俺は性格上思ったことしか言えない」
「でも…」
「…そこの桜道で花見をしたときに隼人たちを見た。とても楽しそうだった。隼人の笑顔を見て、ホッとした」
「………………」
「俺が転院したあとも何年も頑張ったから、あんな風にキラキラ笑えたんだろう。隼人が笑ってくれるなら、この傷はずっと、勇者の証だ」
「誰も間違ってない。隼人は間違ってない」
「隼人が笑えばみんな嬉しい。桐生先生が一番嬉しい」
「桐生先生は隼人が大事で仕方ないんだ。飯窪先生も、俺や雄大も。みんな隼人に笑っていてほしい」
「反発するのはすごく勇気のいることだっただろう。誰にも守ってもらえず苦しかっただろう。ずっとひとりで悲しい気持ちを抱えていただろう」
「ひとりで立ち向かった君はとても強く、がんばった」
「だからもう自分を苦しめるのはやめよう」
「辛い気持ちは俺たちにぶつけてくれていいから」
「ひとりで抱えるのはやめよう」
「俺たちは大人だ。あの時の子どもだった頃より力になれる」
「思い出して悲しい時はいつでも呼んで。話をしよう」
ぎゅっと握られていた手に名刺を渡された。
「大丈夫、ひとりじゃない」
「何度でも伝えにくるよ」
「笑って!」
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