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会いたい
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side 隼人
夢を見た。
目を背けたくなるくらい眩しい空の下でキャッチボールする男の子を見て楽しいねって笑う夢。
5人の兄弟と、その近所に住む子。
大きいお兄さんが投げたボールが全然違う方に飛んでいって嘆く弟たちを、近所の子が笑うんだ。
『優一下手ー!』
『うるせぇっ!!圭佑が取らないのが悪いんだろ!』
『クソ兄貴!まじで許さねえ!おらっ!取ってこい!!』
すごく賑やかで微笑ましいこの気持ち。
知ってる気がするのはどうしてだろう。
『ほら!ハヤト!』
え?
呼ばれたかと思った。でも違う。俺じゃなくて、あの子を呼んだんだ。
5人の兄弟に混ざって遊ぶ明るい子。
………俺はなんで、5人が兄弟だって知ってるんだろう。
なんであの子だけが兄弟じゃなくて、近所に住む子だって知ってるんだろう。
なんで俺だけ、外野で眺めてるんだろう。
『……………と…!!』
『は……………!!』
曇った声が近付いてくる…。
『………………』
誰?
『………………』
…分かんないよ。
『起きて!!隼人も一緒に遊ぼ!!』
急に鮮明に聞こえた声に驚いた。
誰が呼んだの?
「…隼人?」
「…?キリちゃ…」
ふと耳元で一定に鳴るぴっぴっという音が聞こえていることに気付いた。
「なぜ泣いている…?また怖い夢を見たのか?」
「え………?」
キリちゃんが優しく涙を拭ってくれて初めて自分が泣いてることを知った。
「喉乾いてないか?水飲めるか?」
なんだろう。キリちゃんの優しい声がひたすら真っ直ぐに響いて胸がぎゅっと熱くなる。
途端にわんわん泣いてしまって意味が分からない。
「隼人?大丈夫。怖くないよ」
何が悲しいわけでもないのにドバドバ溢れる涙。
まるで何か悪いものが全部出て行ってるみたいな…。
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