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人間不信
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「で、なんであんたがこっちに来んの」
「朝霧が不在でな」
しばらく床に這いつくばっていた隼人を桐生と飯窪の2人が力尽くで剥がしていた。なにあいつ、重症患者だったの?ちゃんと鍵かけとけよ。
「俺が加害者って」
「あぁ」
「俺の名前知ってた」
「…だろうな」
「なんで」
窓のない部屋。壁に向かって聞く。
こいつは嘘つきだから何も教えてくれないかもしれない。
それでも聞かずにはいられなかった。
「なんでだろうな」
「……ふざけてんの」
………………。
「…ふざけているのはお前だろう。よくも俺の大事な患者を」
聞こえねぇ声で何言ってんだよ。ボソボソ喋るの流行ってるわけ?うぜぇんだけど。
「は?もっとはっきり…」
壁から桐生に視線を移して、絶句してしまった。
なにこいつ、すげえ睨むじゃん。人一人殺してそうな目で。
「……俺は朝霧のように優しくできない。患者だろうがなんだろうが隼人を傷付ける存在は一つずつ潰さなければいけない」
だから、俺が何をしたって言うんだよ。
そう聞こうと口を開いて、閉じた。
…ドアがノックされたから。
「桐生先生、隼人くんが呼んでます」
「…そうか」
また、隼人くんか。最初からそっちに行けばいいものを。
「飯窪。こいつに話してやれ。隼人に何をしたか」
「え、でも朝霧先生は…」
「思い出すのは早い方がいいだろう」
桐生と飯窪は一番近い立場同士のはずなのに、やはり桐生には少しだけ壁があるのか、たまに全然違った関係が見えるような気がする。
ガチャンと無造作に閉められたドアがやけにうるさい。
「…………隼人くんになにか言われたんだってね」
桐生と違って穏やかに微笑む飯窪は少し、朝霧と似ている。
でも、多分。この人は誰よりも冷たい。
「俺のせいで魁くんが加害者になった。ごめんねって。ずっと謝られた」
「でも俺、あいつとは売店で会ったのが初めてだと思ってたから意味分かんなくて。桐生に聞いたけど、なんか言って睨まれただけ」
「俺、なんかしたの。あいつに」
隼人に。
「うーんとね、」
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