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人間不信
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side 飯窪
「で、話したんだ?」
ちょっと目を離した隙に魁くんの部屋へ行った隼人くんの話を久保先生に聞いてもらったら、長い一日がやっと終わったなぁって安心する。
愚痴っぽくなっちゃいそうで話そうか迷ったけど…。一日を振り返らないと終われる気がしなくて。
「うん〜。桐生先生も酷いよね。自分で伝えてよ!って思わない?」
「まーね。けどキリちゃんが自分の口で話してしまったら感情を抑えきれなくなって、魁くんを傷付けちゃうかもって思ったんじゃない?」
「んーー。そうだとしてもー」
隼人くんに怪我させたのをきっかけに現状こうなってるって、どう伝えても結局落ち込むし傷付けちゃうでしょー。
しかも、桐生先生は精神科医なんだろ!嘘つくな!ってキレられたし…。
そんなに怒ることかね?心臓外科医だし。
「隼人くんはちゃんと眠れてるのかなぁ」
「今日はキリちゃん泊まりでしょ?大丈夫よ、多分」
「魁くんも色々複雑だろうし…。はぁ疲れる」
「いつもお疲れ様。副院長先生」
普段副院長先生なんて呼ばないのに。久保先生らしくもない。
「さーて。シャワー浴びて明日に備えようかな」
毎日の日課になっている仕事の愚痴大会を終えて心も身体もさっぱりしようかと立ち上がる。
「うん。その前にちょっとい?」
「え?」
◇
「あたしもさ、どうしようかなーって悩んだんだけど」
「うん」
なんだ?
久保先生が困ってるような、はにかんでるような…。
「でもやっぱり二人のことだから…」
俺たちのこと…?
まさか、、
「…ビール飲みすぎて健康診断アウト?」
・
・
・
「……は?」
「あれ、違った」
ゴホンッと咳払いして真剣な眼差しを向けられている。
…妙な緊張感。
「飯窪先生!!いや、…伊月くん」
「え?あ、はい」
「…………あのね」
………あ、別れ話的な?
二人の問題だし…どうしようかなーって悩むのも分かる。うん、そうだよね。毎日愚痴ばっかり聞かされてしんどいよね…。
「…」
「…あー、、ごめん、全然気付かなくて」
「…ん?」
「やっぱりあれは誰でもしんどいし、俺がもっとちゃんとするべきだったよね…」
「え…?気付いてたの?」
「いや、、今思い返してみれば…そうだよなって。ごめんね」
「なんだ、、じゃあそんなにかしこまらなくてよかったんだ」
やばい。フラれる…。俺のはじめてのガチ恋が…。
「私…」
「はあああああ!ごめん!愚痴とかこれからは控えるから別れようなんて言わないで!お願い!はじめてこんなに人を好きになったんだ!俺っていっつもペラペラだから腹黒そうとかよく言われるけど、久保先生のことは大好きだしこれからとずっと一緒にいたいって思ってるんだ…信じてもらえるか分からないけど…意外と、まじで…これ……って…あれ?」
久保先生…なんか、、、、にやけてる。
「…あれ、なんか間違った?」
「飯窪先生のテンパってるところ、初めて見た。アハハッ!めっちゃ早口だし!」
えぇ…だって…別れるとか考えられないしさ…。
「私ね、妊娠してるの。…だからって言うのもあれだけど、そろそろ私たち、結婚しない?」
・
・
・
「えっ?」
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