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人間不信
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桐生先生が過労で倒れた。
過労、と言うのか。心労と言うのか。
どっちもか。
そりゃあ。倒れるよね。
こんな俺でも倒れたんだから、その倍以上働いてる桐生先生が倒れないわけがないよね。
カウンセラーになります!とか宣言する前に桐生先生を労るべきだった。
「隼人くんは僕が見ますので飯窪先生は業務に戻ってくださって大丈夫ですよ」
精神科の朝霧先生に隼人くんをお願いして院長業務を代行した。
数日で回復するかと思ったけれど思ったより重症だったらしく、当院の担当医は『院長の指示とはいえ、病人を返すわけには行きません!帰る等の発言は治してから言ってください!』と強気だ。
桐生先生も心配だけどそれよりも隼人くんだ。
なんだかんだ言っても桐生先生が精神安定剤みたいな部分が大いにあるわけで、急に来なくなったらまた不安定になってしまう。
俺も忙しくて全然行けてないし。
よくよく考えたら俺って桐生先生のコネだけで副院長やってるから言ってしまえば無能だよね。
隼人くんの看病をしながらどうやってこの量の仕事してたの?あの人。
「飯窪先生!こちらの件はどうしたら…」
「副院長!そろそろ会議が…」
「飯窪先生!」
「飯窪先生!」
「飯窪先生!」
今日だけで何人の人に呼ばれた…?
院長ってやばくない?どんだけ忙しいの?無理……俺には無理…。
束の間の休息。
院長室のソファーに寝転んで天を仰いでいたら着信が。
「あい」
「おつかれ!鉄メンタル今暇?」
矢代くん…。フランクすぎやしないか。
「暇だったあの日に戻りたい」
「今日ケントと行っていい?」
「あー。今日?今日ねぇ」
「何?ダメなの?」
ダメなことはないけど…。何かあった時に対処できるかどうか…。いや、できない。
「日を改めてくれるかい。実は桐生先生が倒れてしまってね。俺絶賛院長だからタメ口禁止」
「うわ!頼りなっ!!桐生先生大丈夫なの?やばい?桐生先生のお見舞い行こうか?」
こいつ……。会ったらしばく。
「関係者以外立入禁止なので〜〜〜」
「関係者だろ!!」
「とにかく今日は無理そう。手が取れそうなくらい忙しい」
「ふーん。鉄メンタルは倒れんなよ!じゃ」
「ふぅ。次は何やるかなぁ。書類の山が…」
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