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骨肉のヒョンジェ-01-
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弟が嫌いだった──
弟が生まれてからというものの母の愛情が全て新たに生まれた弟という存在に注がれている気がしたからだ。最初に生まれたのは僕の方なのに何でも弟が一番だなんて間違ってる。
でも、勉強をしたり本を読んだりして色んな知識を得るようになるとどうして弟が一番なのかを理解できるようになった。
「ヒョヌ、お兄ちゃんなんだからトユンの面倒ちゃんと見てあげて」
──はい、ママ。
「ヒョヌ、お兄ちゃんなんだからトユンに譲ってあげなさい」
──はい、ママ。
「ヒョヌ、お兄ちゃんなんだからトユンの失敗は貴方の失敗よ。貴方が代わりに謝ってきなさい」
──はい、ママ。
「ヒョヌ、トユンより賢くなっては駄目よ。トユンは会社の跡継ぎなんだから」
──はい、ママ。
「ヒョヌ、家に男の子は二人もいらないの。今日から女の子になりなさい」
──はい、ママ。
「ヒョヌ、トユンと血が繋がっているのは内緒よ。明日から学校にも行かなくていいわ」
──はい、ママ。
ママの言うことは絶対に守らなきゃいけない決まり。だから僕は何でもイエスと答える。ママが女の子になれと言うから女の子になったし学校にも行ってないし僕はヒョヌとの血の繋がりを隠した。
僕は前の父親の子供だ。
トユンはというと再婚相手と母の間に出来た子供だった。再婚相手、僕の今の父さんからすればトユンは連れ子じゃない実子で僕なんかより大切にするのは当たり前だ。
僕は前の父親の顔を知らない。
僕が生まれてすぐに態度が豹変し暴力を振るいはじめたらしく母は逃げるように家を出たという。元々顔だけは良かった母は自分がもうお金に困らないようにと金持ちを探し狙いを定めてすぐに結婚相手を見つけた。再婚相手は韓国有数企業の社長。コブ付きの母だったが顔の良さが気に入られ結婚し今に至る。
だから僕とその社長とには何の血の繋がりもない。再婚後すぐに身籠りトユンが生まれた。トユンが跡継ぎになるのは生まれた時から決まっている筋書きらしい。だからこの家に男は二人もいらないという訳。
「お兄ちゃん遊ぼう」
トユンはそんな筋書きに気付いているのかは知らないがいつだって俺に話し掛けてくる。僕と違い学校に友達がいるんだろうから学校の友達と遊べばいいのになぜ僕に構う。僕はトユンとは遊びたくない。
「ママの命令なら……遊ぶけど……」
「そっかぁ。……でも、ママは出掛けるみたいだからきっと僕の面倒を見るように言うと思う」
「そう……」
「僕の部屋に行こう」
「また……?」
「いいから、いいから」
僕は弟のトユンに手を引かれ部屋へと連れていかれた。僕はトユンには逆らえない──逆らうとママが怒るからだ。
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