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つまりこの子は泥酔した俺の餌食となり
服に吐瀉物を吹っ掛けられて
服が戻ってくるまで出会って間もない俺とホテルの一室で待機する事を余儀なくされたというわけだ。
…なんて不幸な。
「マジごめん。俺あんま記憶なくてさぁ。」
クローゼットに掛けられていたバスローブに腕を通し、
足を組みながらソファで大きくなる男の子に再度謝罪を述べる。
すると、テレビのリモコンを操作していた手が止まり
じとっと訝しげにこちらを横目で見たかと思えば、またすぐに逸らされて。
「…別にマスターの車、初めて乗れたし構いませんけど。
それより芦屋雅樹さん。僕あなたより一応年上なので態度改めてもらえませんか。」
「えっ、嘘。」
「嘘つく必要ないです。」
何故俺の名前と年齢を把握されているのか疑問を抱いたが、
尻ポケットに突っ込んでいたはずの財布がテーブルに置かれていた事で即納得。
免許証か…保険証も、確認済みって事かよ。
…本気で社会的に抹殺されないか心配になってきた。
「いくつ…すか。」
「23です。」
「1つしか変わんないじゃん。」
「1年は大きいです。バカにしてるんですか。」
もしかして、童顔な事とか少し小柄な事とか
結構気にしていたりするんだろうか。
と、勘ぐってしまうくらいムキになるその子につい笑いを堪える。
「ところでなんで一人で飲んでたんだよ?つか名前は?」
誰かに興味がわくなんて久しぶりだった。
明るい中で見てしまえば、昔想いを寄せていた親友とはまるで別人だというのに。
この子と彼を勘違いしただなんて、いくら酔っていたとはいえ己の目を疑う。
「…マスターと話したかっただけです。
初対面で服ゲロまみれにした人に名前教える必要あります?」
うっわ。なんだこいつ。
言い返せないのがまた悔しい。
あいつはもっと素直で
俺より高い背を丸めて眉を下げて笑って
…可愛かった、な。
「…あの、そんなに僕“とーま”って人に似てるんですか?」
「似てない。」
「…戦争でも始めたいんですか?」
陶器の灰皿に手を伸ばすその子の目は…マジだ。
「待て早まるな、俺が悪かった。」
「ふんっ。」
こりゃまたとんだ曲者と出逢っちまったもんだ。
もう一度繰り返そう。
俺はつくづく男運が悪い。
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