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一章二話 囚われた子供達
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連れて行かれた先は、五階建ての薄汚い建物だ。元は白色だったのだろうが、今はほぼ薄茶色の汚れが目立つ。
外から見て一階以外にどこにも窓が見えない。
一階毎に非常口のような扉があり、小さな階段が付いている。一見物流センターのようである。
少年は車のトランクから降ろされると、また大男に担がれた。
口は塞がれたままで、手足もガムテープで固定されて動けないが、視界まで奪われている訳ではない。少しでも情報を得る為、周囲の様子を見回した。
どこを見ても木々が並んでいて、民家もなければ、人が通る様子もない。助けは呼べそうにない。
すぐに建物の中へ入ってしまったので、それ以上外の様子を見る事は出来なかった。
建物内は入ってすぐに廊下があり、手前にエレベーターが二台、その奥に扉がある。
廊下だがようやく床に降ろされた。少年は陸に打ち上げられた魚のように藻掻く事しか出来ない。
「いいところのオヤジかババアに買われるといいな」
「ふん。どうせ変態に調教されるか、奴隷として働かされるかだろ」
小柄な男が他人事のように少年を見下すようにせせら笑い、大男は少年に一切視線を向けずに無表情で少年の未来を勝手に決めつけた。
「ここで人を買う奴はろくな奴がいないからなぁ。じゃあな少年よ、元気でな」
「何がじゃあなだ、もう会わねぇだろ」
「それもそっか」
男二人はそのままエレベーターに乗って行ってしまった。
今なら逃げれるか、と少年は這って逃げようとしたが、すぐにやって来た厳つい顔の男に足を掴まれてしまった。
「このガキか、新しい商品ってのは。逃げようとしてんじゃねぇか。ったく、鎖とかで繋いでから行けよな、逃げられたら俺の責任になっちまう」
足を持たれたままズルズルと引き摺られていく。地面に当たっている頬や胸や腹が擦れる。少年は痛みに顔を顰めた。
エレベーターで五階まで昇っていくと、壁に大きな空洞があり、縦と横の棒によって檻の形となっている。一番右端が扉となっているが、南京錠で封じられている。
中には五人の子供達が入っていた。幼児から中学生くらいまで様々だ。
「おい、商品なんだから雑に扱うんじゃねぇよ」
「わーってるよ」
元々五階にいた男は、鍵を厳つい顔の男に文句を言いながら渡すとエレベーターに乗っていった。
少年は目に溜めていた涙をボロボロと零した。
だが、厳つい男は目もくれずに、全てのガムテープを剥がすと少年を檻に入れてしまった。
再び南京錠が掛けられる。鍵は男がポケットにしまった。
男は見張りなのだろう、檻の前に立ったまま動かない。子供達も一言も声を発する事なく蹲っている。
中学生くらいの少女が一人と、小学校低学年くらいの男児が二人と、女児が一人、幼児くらいの男児が一人だ。
皆一様に、緑色の粗末な半袖のTシャツと半ズボンを着ている。私服のままなのは少年だけだ。
「あ、あの……おじさん……」
「喋るな。会話は厳禁だ」
少年は男に呼びかけてみたが、冷たくあしらわれてしまう。
だが、生理現象は必ず起きるものだ。じっとしていたら尿意を催した。我慢し続ける事は不可能だ。
すると、中学生くらいの女の子が男に呼び掛けた。
「ねぇおじさん! トイレ。漏れるんだけど」
「チッ」
男は不服そうな顔をして鍵をポケットから取り出した。
「あの、僕も……」
少年も泣きそうな顔で訴える。
「二人とも出ろ」
少女と少年が檻から出されると再び鍵は締められる。そして、二人の手首にそれぞれ手錠を掛けると、男がトイレまでついてきた。
トイレは男女で分かれておらず、男用の小便器が二つとと個室の便器二つがあった。
「おじさん、外で待っててよ。私、あなたに出してる音聞かれたくないし、この子は来たばかりなのよ、どうせ大の方でしょ?」
「えっ……あ、うん」
少年は困惑しながら頷いた。小便だけなので個室の便器を使うつもりがなかった。
「チッ、分かったよ」
男は舌打ちをしてトイレの外に出た。そして、少年は少女に腕を掴まれて同じ個室に連れ込まれたのだ。
そして少女はか細い声で少年の耳に囁いた。
「ねぇ、ここから逃げたいと思う?」
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