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一章六話 買われた先は
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非合法なオークション会場は、繁華街の裏側にある反社会勢力の牛耳る区域だ。
開催場は地下にあるが、室内はちょっとしたホテルのパーティー会場のようにも見える。
広い壇上の下は床が絨毯で柔らかくなっており、豪華な椅子が壇上に向けられて十席用意されている。
部屋は薄暗く、相手の顔がはっきりと見えない。
このオークションに参加出来るのは、裏社会に通じている者の中でもごく一部だけなのだ。
参加者は殆どが髭を蓄えた年配の男が多いが、初老の女性等もおり、若い世代は殆どいない。
彼らが視線を向ける先──壇上の上には全裸の男児が三人と女児が二人が横一列に並ばされている。
壇上の上は何台ものライトで明るく照らされているので、顔や身体が包み隠さずに見る事が出来た。
その中に少年もおり、無表情で立ち尽くしている。
他の子供達の中に少年がいた倉庫に一緒にいた者はいない。他の場所から送られた子達である。皆不安そうな顔だ。
彼らには胸にテープで番号札が貼られている。
「お待たせ致しました。紳士淑女の皆様。今宵は素晴らしい商品を用意しております。ご期待ください」
壇上の一番右端に立っているスーツ姿の司会者がマイクの前に立ち、挨拶をした。
会場は少しの盛り上がりを見せたが、すぐに静かになる。
「本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます! 早速参りたいと思います。最初に510番です!」
司会者から番号を呼ばれた男児にスポットライトが当たると、客達は皆そちらに視線を注がせた。
「皆様ご存知の通り、ここにいる子供達は全員非処女です。初物ではありませんが、調教は楽に出来てすぐの挿入も可能です。
それでは五千万円から……」
すぐに「五千五百万」と手を挙げる男が現れた直後に「六千万」と額が高くなっていき、最終的に三億を提示した者に買われていた。
他の子供達も大体一億から三億程度の金額で取引されていった。
元々、客達は商品となった子供のプロフィールや健康状態などを持ち出し禁止の書面で配られており、誰を買うかは既に決めてあるのだ。
最後に残ったのは少年である。
年齢が低い程、高額になっていくこのオークションだが、少年が一番年長だった。
開始の金額から「一千万」と他の子供達より低い。
声がなかなか手が上がらない。
ここで売れ残ると臓器売買になると聞かされている。どうにか買ってもらわねばならない。
少年は神に祈る気持ちで客達を見渡すと、一人の男と目が合った。少年からは暗くてよく見えないが、年配者が多い中で彼は結構若い。その隣にも若い男はいたが、そちらはいかにも強面でヤクザのような雰囲気だ。
目が合った人はその男とは真逆で、冷たい瞳なのに、何故か安堵感のようなものを感じた。買われるなら彼が良い──少年は切実に彼に視線を向ける。
「二千万」
少年の思いが通じたのか、彼が手を挙げた。それから他に二人目が「二千五百万」と手を挙げていった。
彼は続いて「三千万」と声を上げた。彼ともう一人の戦いのようになっていく。
だが、結局彼ではない男に五千万円で購入される事となった。
最初に手を挙げてくれた彼は、悔しそうな顔をしていた。五千万円以上は支払えなかったと分かる。
会場の舞台裏で少年は自身を購入した男と対面した。
四十代の少し老け始めた男だ。身長は百六十センチ程で、少年とは十センチしか変わらない。
少年を裸のまま外へ連れ出し、車の後部座席に乗せた。
「私は松山という。お前は私をご主人様と呼ぶように。お前は道具だ、ただ私の言う事を聞いていればいい」
「……はい」
「道具は人の役に立つ事が仕事だ。そして、私の指示に全て従え。勝手な行動は一切許さない」
「はい」
松山が初めて少年に投げかけた言葉は冷たいものであった。人として扱わないと断言されたも同然である。
だが、少年はその事に悲しみを覚える事はなかった。倉庫にいた時、散々「変態に性の道具にされる」と言われていたからだ。
性の道具になる為の調教を受けた。
もう元の生活には戻れないと絶望し、心を閉ざしたのだった。
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