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「起きたら足無くなってたんだけど、これももしかして翼のせい?」
あれから幾月
直己は一命を取り留めた。
長い間意識不明のままICUに閉じ込められていた事など知る由もないだろう。
右足の損傷は特に激しく
膝下切断という選択を余儀無くされたのだった。
「そうだよ。僕のせい。
…全部全部、僕のせい。」
「そっかぁ。翼のせいなんだ。
じゃあ翼は一生かけて、償わなきゃいけないよね?」
直己は優しく笑う。
僕もつられて笑う。
「僕が全部悪いから、なおは僕に身を任せてくれたらいいんだよ。」
なんでもしてあげるから。
何かできないことがあったら
全て僕のせいだから仕方ないと、自分を責めずにいてほしい。
足を無くしたのも
そのせいで不自由なのも
僕のせいだからと、僕に全ての罪を被せてほしい。
嫌なことがあっても
悔しいことがあっても
辛いことがあっても
悲しいことがあっても
全部全部、僕を責めてね。
僕を必要としてね。
僕という存在を、世界で一番憎んで愛して
これからもずっと僕と一緒に居てね。
僕には直己だけなんだから。
直己には僕だけなんだから。
「翼。俺水飲みたいな。」
「いいよ……って、ちょっとなお。手離してくれなきゃお水取りに行けないよ?」
「じゃあいらない。」
「えー?」
僕たちは幸せだ。
これがまともだなんて思ってない。
でも、僕たちにとってはこれが普通なんだ。
普通でいるための唯一の手段。
幸せで居られる、最善の方法。
「…ねぇ、なお。車椅子乗らない?
僕と少し外に出よう?お水も買えるし。」
「いいね。行こっか。」
「うんっ。」
僕を求める直己と
直己を求める僕。
僕たちの邪魔は誰にもさせない。
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