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7:切れたらまた、繋いであげる
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「だーれーがー、部活だって?俺は兄さんに言われて買い物行ってた筈なんだけど?」
縁糸はいさ兄の頬をめちゃくちゃ引っ張っていた。
きっと久々に俺に会いたかったってのは本当だったとは思う、だけど俺と縁糸を仲直りさせたいからって事で縁糸を買い物に行かせ、俺を部屋に上げるというのも全て作戦だったとは思いたくなかったな。
「だ、だって!僕は縁糸も陽縁も好きだし、本当に仲直りしてほしかったんだよ!まさか理由が理由だったからお互い避けてたなんて思わないし!」
引っ張られて真っ赤になった頬を押さえて涙目になりながら説明するいさ兄に、俺も縁糸も呆れてしまった。
まぁでも、今回の事が無ければきっと一生縁糸との縁が戻ることはなかっただろうから、そこはとても感謝している。
感謝はしているけど…
「手のひらの上で踊らされてたって思うとちょっとムカつく…。」
「あーん!陽縁まで怒らないでよー!」
ボソリと呟いた言葉はバッチリ聞こえたらしく、寝転がっている俺にのし掛かって何度も謝ってくるいさ兄に思わず失笑してしまう。するとクスッと、小さく笑う声が聞こえて縁糸を見れば、俺達がじゃれる姿を見て楽しそうに笑っていた。
縁糸が笑う姿をちゃんと見るのは久し振りで、本当に仲直り出来たんだと実感する事ができた。
「陽縁と仲直りできて良かった。あの時、逃げずにちゃんと話し合えば良かったってずっと後悔してたから…今、すごく嬉しいよ。」
縁糸も俺と同じ気持ちなんだと分かると胸がほわっと温かくなって、嬉しい気持ちと好きって気持ちが溢れてくる。まぁ溢れるままに好きと伝えても『陽縁は二番』と言われてしまうけど。
するといさ兄が起き上がって、俺と縁糸の手を掴んで優しく微笑む。
「今回は見守ってた時間が長くて仲直りさせるのが遅くなっちゃったけど、例えまた二人が仲違いして離れたとしても、僕が必ず繋いであげる。二人は産まれる前から縁で繋がってるんだから、その縁を大切にしなきゃ。」
ね?
そう言ういさ兄の言葉を聞いて、俺と縁糸は顔を見合わせて笑った。
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