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違う匂い <Side 古里
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大学の構内で、友人たちとフットサルをしていた。
はしゃぎすぎたオレは、帰るのが面倒になる。
オレの家は、ここから公共交通機関で2時間もかかるのだ。
更に明日は、1限から落とせない講義ときた。
オレの頭に浮かんだ顔は、朝斗だ。
ここから数分の朝斗の部屋。
家に泊めてくれないかと、お願いメッセージを送った。
数分の沈黙を挟み、了承の意が帰ってくる。
オレは、友人たちと別れ、朝斗の部屋へと向かった。
インターフォンを押下したが、音沙汰がない。
『わかった』と返信が届いていたから、どこかに出掛けているのかと、部屋の前で待つコトにした。
ぼんやりと朝斗の姿を探しながら、待つオレ。
目の前の道路を眺めていると、見覚えのある車が目前に差し掛かる。
瞳で追ったその車の運転手と、瞬間的に視線が交差する。
丞じゃね?
濡れ髪の膨れっ面が、見えた気がした。
すぐに過ぎ去ってしまった車に、本人かどうかは定かじゃない。
丞の家は、ここから車で5分ほどだ。
気晴らしのドライブだとしても、わざわざ大学に向かって走るもんか?
なにやってんだ? あいつ。
「古里」
首を傾げながら、車の過ぎ去った方へと視線を飛ばしていたオレに、声が掛かった。
声に振り向くオレの瞳に映ったのは、長袖のTシャツ1枚の朝斗の姿。
11月も下旬に入り、寒くなってきたこの時期に、あまりにも薄着なその格好に思わず眉根を寄せた。
走り近寄る朝斗から、嗅ぎ慣れない匂いがする。
出掛ける前にシャワーを浴びていたのかと考えた。
でも、この寒い時期に、身体を温めた後、上着もなしに出掛けるのは、不自然だとも感じた。
それに、鼻に届く香りが、朝斗の家のボディソープの匂いじゃない……。
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