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カランカラン。
ドアを開ける手に力が入らなくて、モタモタしていると従業員が集まってきた。
「康介さん。おはようございます!」
「どうしたんですか? ふらふらして」
「熱? 顔、赤いですよ」
ようやく職場に辿り着いたら、質問攻めにあう。
「ちょっと寝不足なだけ。問題ない」
控え室に向かい、着替えを済ませる。
ここは両親が立ち上げたカフェ。バリスタとして働いている。
やり過ぎたせいで体がだるくて辛い。でも今日は、両親が法事で不在の為、店長代理。バイトの面接が一件。売上金計算して、コーヒー豆や食材を発注して……やる事がいっぱいなんだ。
「面接の方がいらっしゃいました」
棚を整理していると、従業員が呼びに来た。
「ありがとう。奥の席に通して」
書類を準備して、立ち上がる。
「久し振り。康介先生」
明るい髪色。屈託のない笑顔。奥の席に座っている男を見て、愕然とした。
「タイガ……」
そこにいたのは、昔、家庭教師のバイトをしていた時の教え子だった。
「…………会いたかった。先生」
「なんで……」
当時、タイガは16。俺は22、大学四年生。
素直で努力家、笑顔の可愛いタイガに惹かれていた。だけど、先生と生徒。年の差も一回り違う。
どうにかなる事はない。諦めるつもりだったのに、俺のバイト最後の日に告白をされた。
――本当は嬉しかった。
でも、カフェで働く事が決まっていて、遠距離になってしまう。タイガは優しいし、きっと、この先、もっと良い人に出会える……
『ごめん』と一言。何も伝えず逃げるように引越をして関係を絶ち、一切、連絡をしていなかった。
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