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はっ?
いや、
ありえねー。
なんの冗談だよ。
「いや。ありえなく無いですか?カズは、先輩が帰ってくるのを心待ちにして、ずっと俺のことを避けてたのに。」
「松浦を避けてたのか?
……マジで泣けてきた、俺…。」
「先輩…。冗談ですよね?」
「こんな事…冗談で言うかよ。」
いやいやいや…
ありえねー。
「カズはな、お前の事が好きなんだと。だからごめんなさいって、泣きながら謝られた。」
「いや。それ…いつですか?……ていうか、それ、全然信じられねーし。」
「4日前だよ。大雨の日に帰国して、少しでも早くカズに会いたくて、夜に会いに行ったんだけどさ。……そん時に言われた。」
4日前の大雨って。
あの日だろ…。
「だから、俺がアメリカに行ってる間にお前達がくっついたと思ってたんだけど、見てるとどうも違う感じがして。」
「先輩…。俺は、その日に完全に振られたんですけど…。」
「案外、振られたと思ってんのは、お前だけかもしれないぞ。カズは、お前の事が好きなんだって自覚したと言ってたからな。」
ありえない。
だったら、なんで…。
「だから、お前に聞きに来たんだよ。早い話が、カズは俺に遠慮してる。自分から松浦を忘れさせて欲しいと頼んだのに、ごめんなさい。ってな。」
「忘れたいって……俺にも言ってたし…」
「だからな……」
真田先輩は、壁沿いに角を曲がると、
「ほらっ。遠慮すんなよっ。」
そう言いながら、
カズの背中を押して来た。
「カズ…」
「駿くん…」
立ち尽くすカズと俺。
そのまま、時が止まる気がした。
「ほら。邪魔者は退散しようぜ。」
真田先輩は、尚も向こうに向かって
何かを言っている。
「ちょ!先輩、見えないっす。」
「くふっ。先輩、これからいいところですから、シーっ♪」
………アイツら…。
壁の向こうからひょこっと顔を出した先輩は、また、俺のところに来た。
「お前さ、俺がアメリカから帰ってきた時には覚えてろよ。いつでも、カズを奪い返しに来てやるからな。」
「//えっ。せ、先輩…//」
先輩は、カズをぎゅうっと抱き締めて、
頬にチュッと、キスをした。
「カズ…。もう、無理すんなよ。」
「///えっ。あの…//」
「いやいやいや。先輩、それ、反則!」
俺の声が裏返った。
ダセーな、俺…。
「いいだろ、これくらい。アメリカンな挨拶なんだから。」
「いやいやいや。ここ、日本だし。」
真田先輩は、カズをじ…っと見つめてから、唇を噛み締めてカズの耳元で何かを囁いた。
カズは、その言葉を聞いた途端、
両手で顔を覆って泣き出した。
先輩は、泣き出すカズの頭をポンポンと撫でると、目の奥に光るものを隠して、笑顔で去って行った。
先輩の後ろ姿は、
やっぱり、カッコ良かった…。
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