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epsode1 帰宅と同居
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見渡す限りの青天井
白い雲は、その存在を消し、まるでこの空は最初からこうだったと言わんばかりだった。
「うわぁ、久々だなぁ」
僕、月城和希は久々に日本の土地を踏んだ。
小学6年生の今頃、イギリスに飛んでから早くも6年の歳月が流れていた。
時間の流れは往々にして長いものだと思う。
今回、長く慣れ親しんだイギリスを発ってまで日本に戻って来た理由。それは、他ならぬ、日本の大学からの推薦があったから……
というのはあくまで建前で。
本当は、昔されたプロポーズの相手を探す為だ、
なんて言ってみたりする。
『和希……俺、好きなんだ』
もう、昔のことだ。
その彼が、誰かなんて流石に覚えていないし、見つかる筈もないのも分かってる。
だけど、もし見つかったら。
あの日感じた気持ちの答えが見つかる気がして。
僕は、気づけば日本行きを決めていた。
*
久々の日本に、懐かしいと感じるところはいくつもあった。でも、僕はそれよりも帰国出来たことに、心底ホッとしていた。
__とある人の申し出がなければ、今回の帰国は成しえなかったかもしれないから……
「ありがとうございます」
パスポートを片手に握りしめてお礼を言う。
今、日本に帰ったところで住む家なんてない。
両親は揃って海外駐在の真っ只中。
僕1人の家を用意できるほど、お金もなかった。
そんな、日本行きを諦めかけていた状況下で、僕に声を掛けてくれた人がいた。
それが駿兄だ。
幼い頃から、僕が留学するまで家が近所で、僕とよく遊んでくれていた人だった。
留学してからは、疎遠になってしまっていたが、
僕の両親が書いたFacebookのページをたまたま見つけたらしく、2人に連絡してくれたそうだ。
久しぶりの日本に、1人で暮らすのは不安でしか無かったから正直ありがたくて俺はその申し出に、即答という形で返事をした。
『よろしくお願いします』
そんなこんなで、今日からまた日本で暮らすことになったわけだが……
「久しぶりに会うから、緊張するなぁ……」
駿兄と会うのは、実に6年ぶりだった。
まだあの頃、駿兄は高校生くらいだったけど……
今はどんな大人になっているんだろう。
想像もつかない姿に少し心が踊った。
「えっと、白い一軒家……」
駿兄が書いてくれた地図を元に、家を探す。ここら辺は、住宅街だが、マンションや昔からあるような古めかしい家が多くて、その家はすぐに見つかった。
「うわ、すっごい……」
新築とは言っていたが、こんなに綺麗だなんて。白地の外観に、暗めの茶色の屋根。玄関の扉も、焦げ茶色に統一されている。
玄関までは、短いながらヨーロッパ風の石畳が敷き詰められていて、本当の入り口には小さいながらアイアンの門が置かれていた。
ものすごい豪邸といえば、全然そんなことはないが20代の駿兄が建てたといったら、大きすぎるくらいの一軒家だった。
想像以上の大きさに、僕は少し身構えつつ、インターホンを鳴らした。
暫くすると門が開く。
勝手に開いた扉に、目を丸くしつつも、石畳の道をゆっくりと歩いた。
そして……
玄関扉の前についた瞬間。
玄関の戸が同時に開いた。
「和希、久しぶりだね」
その声は昔と変わらない。
久しぶりに聞いた駿兄の声。
嬉しくなって顔をあげた。
そこには、昔より少し大人になった駿兄がいた。
黒い髪も、少し垂れ目よりの目元も変わっていない。
「駿兄、大人だぁ……」
「それは、和希もね」
思わず漏れた本音に、駿兄はそう言って笑う。
久しぶりに見た駿兄の笑顔が嬉しくて、僕は帰って来てよかったなと思った。
そんな矢先に、
「あれ、その人だれ?」
玄関の向こうから、金髪の知らない男がやってきました。
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