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epsode5 バレンタイン大作戦!!3
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その日から、梓さんを見る度にキラキラして見えるようになってしまった。
対して、家事もほとんど出来ず、彼みたいに積極的になれない自分に嫌気がさした。
駿兄は、女の人がすきだから、自分みたいな男が迫ったら迷惑かもしれない。気持ち悪いと思われたら……などと考えると踏み出せなかった。
けれど、しっかりしている梓さんを見ていると、何も出来ない自分が更に嫌になって。
「はぁ、何買ってんだかな……」
今日、料理器具を買って来てしまった。
よく分からなかったから、ネットで調べて、料理マニアの中で絶賛って言われてるらしい器具をひと通り買ってきた。
「(高かったなぁ……)」
痛い出費だったなぁとは思ったが、背に腹は変えられない。僕はその日から、買ってきた器具で料理の練習を始めた。
だけど……
「あっ、つ!!!」
フライパンの根元を触って火傷するし。
「いた、ぁぁぁ!!!」
うっかり指に切り込み入るし。
「っ!!!」
油が飛んできて、めちゃくちゃ痛いしで。
なかなか、梓さんみたいに、上手くいかない。
どうしてだろう?と何回考えても答えが出なくて、何回目かに無理やり出した答えは、梓さんが料理してるところを見るということだった。
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くっそ、何度やっても上手くいかない!!
梓さんは、こうやってたのに!!
くそっ、くそっ!!!
「ねぇ」
「ねぇ、聞いてる?」
料理に集中してて気づかなかった。
気づいたら、耳元で低めの声がして、予想もしなかった刺激に僕の体は飛び上がる。
「あっ、梓さん……」
顔を上げた先には、彼の顔。
僕は、いつものように笑って挨拶をしようとした。
「梓さん、おはようございま……」
「あのさ、ひとつ言いたいんだけど……」
それを言わせまい、と梓さんが被せる。
いつもより、声のトーンが低くて、僕は、思わず押し黙ってしまった。
「俺のマネ、やめてくんない?」
「最近さ、ウロチョロしてると思って。何してんのかと思ったら、こーゆーことか」
「普通に迷惑だし。気持ち伝えたいなら、自分の意思でやれよ。俺のマネすんな」
梓さんは、それだけ言うと、じゃ、それだけだから……といって去っていった。
残された僕はというと、言われた言葉に唖然とすると同時に、昔のことを思い出していた。
「じゃあ、どうすりゃいいんだよ……」
頭を抱えて座り込んだ。
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