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epsode 8 喫茶店
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場所は、近所の喫茶店。
地下に店舗を構えるその店に、俺ら2人はいた。
俺らは、茶色い長椅子に2人して向き合うようにして座っていた。
「梓さんと話すなんて、初めてだよね」
「それでさ、今日はどうしたの?」
『気づいてる癖に』
俺が耐えきれなくなって、そう呟くと今まで笑顔だった駿さんの顔が歪む。
困惑していることを隠しきれない、笑顔。
「なんのこと?」
至っていつもの調子だ。
と言っても内心は、めちゃくちゃ動揺してるに違いない。何故なら、彼は女の人が好きだから。
「あのさ駿さん、まさか気づいて無かったとは、言わせないけど?」
「何……?」
「俺と、和希の気持ちのこと」
俺がそうキッパリ言うと、諦めたのか彼は真っ直ぐ前を向いた。
「うん……知ってた」
「わかってたよ」
「君の分かりやすいアピールも。和希が、俺のこと好きだってことも、わかってた」
「じゃあなんで……」
そう聞くと、彼は首を振る。
そして、あまりにも真っ直ぐに俺をみる。
「自分に自信がなかった」
そう言って、苦々しく笑った。
俺はその笑い方が嫌いだと思った。
「踏み込めなかったんだ、俺には」
勇気が無かった。
2人を傷つけてしまうのも、怖かった。
だけど、このままじゃいけないとも思ってた。
そう言って笑う。
その笑い方に、ついイライラして、乱暴にコーラが入ったグラスをテーブルに置く。
それに気づいたのか、一転して真顔になる駿さんに俺は一気にまくし立てる。
「俺もさ、和希もさ、頑張ってたよ」
「あんたに認めてもらいたくて、頑張ってた」
「和希なんて、苦手なチョコ作り……毎日頑張ってたよ。アイツなりにさ」
息が切れる。
わかってほしくて、つい早口になる。
そんな俺をみる、黒い瞳。
驚いている様子が伝わってきて、俺も、正気に戻って。少し、落ち着こうと思ったとき。
駿さんが、ゆっくりと近づいてきた。
そのまま、ずっと近づいてきて、気がついたら腕の中にいた。
「ごめん……ほんとに」
「はっ、あんた……どうして」
駿さんはこんなことする人だと思わなかった。
突然訪れた、待ちにまでまった瞬間に、一瞬頭がどうしていいかわからなくなりそうになる。
「こんなとこで……っ」
「今だけ、許してくれない……?」
僕は、軽いパニックになっていた。
頭まで酸素が回らず、心臓は軽い悲鳴を上げている。
これが、彼なりの懺悔なだけだってわかってはいたけれど、重ねられた体に胸の高鳴りは抑えられそうに無かった。
「わかりました……」
悪いやつだ、とつくづく思う。
だけど、そうしてでも、駿さんと触れ合いたかった。少しでも長くそうしていたかった。
「あったかいね、梓さん」
「うん……」
抱きしめてくれる駿さん。
こんなこと、夢みたいだった。
ねぇ……と上目遣いで見上げる。
こんなの全部小手先の技で、彼の気持ちが俺に傾くわけがないってわかってる。
嫌でも、視界に移るおもちゃの指輪。
俺は、それを無視して、駿さんに抱きつく。
人がいないのを良いことに、更に体と体を密着させていく。
「梓って呼んでよ……」
「わかった」
そうおねだりしたら、駿さんは快く引き受けてくれた。こんなさ、好きな子がいるのに。
他の男の要求を聞いちゃうなんて……、僕も僕だけど、駿さんも大概だよ……
「嬉しい……」
俺はいつものテクで、その気にさせていく。
「ねぇ、駿さんホテルいかない?」
「え、でも……」
「もう、俺……こんなだよ?責任とって……」
駿さんの手を、自らの股間まで導く。
すると、駿さんは顔を真っ赤にして頷いた。
「今回、だけだよ……梓」
駿さんは、そう言ってくれた。
あぁ、やっと手に入る……そう思った。
でも、そんな時に限って。
神様は俺の邪魔ばかりする。
『~♪』
俺の携帯が鳴り、LINEが来たことを告げる。
その内容を見て、俺は目を疑った。
差出人は、和希
文章の内容は……
『助けて……』
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