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突然(tumugi
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「小鳥遊...」
もう少し早く気づくべきだった。
「しっ、しののめっ...」
もっと早く気づいてもっと早く行動していれば...
「好きだよ」
誰も傷つかずにすんだかもしれない。
♥
ピリリリピリリリ
「ん...」
ピリリリピリリリ
「もう...ちょっと...」
ピリリリピリリリ
「あと...もうちょ...い...」
「...あともうちょい...?今、何時...」
「うわあああー!!!」
「うるっさいわねアンタ!朝から大声出すな!」
「姉ちゃん!なんで起こしてくんなかったの!?」
「アンタが起こすなっていったじゃない!5分ごとに毎回鳴る目覚まし時計買ったから起こさないでいいよ~ってね!!!」
「うう...確かに言った...」
「ほら朝ごはん置いてあるから食べな、私もう行かなくちゃだから」
「ありがと、いってらっしゃい!」
僕には3つ上の姉が1人いる。
父さんはアメリカ人で母さんは日本人、つまり僕はハーフ、になる。
今母さんと父さんは海外に出ていて僕達は2人で暮らしている。
ハーフってだけあってまあ...そこそこ顔はいいと思う...
だが問題なのはそこじゃない...
僕は朝ごはんを急いで食べて支度をした。
「いってきます」
誰も返してくれないのはわかっていてもやはり少し寂しいと感じてしまった。
「ダメだ...弱気になっちゃ...今日が本番なんだから」
「せ~ふ!」
「いつも通りのギリギリだね~鳥ちゃん、おはよ♥」
「おはよ澪」
「今日は課題やってきた?」
「...やった、はず」
「鳥ちゃん顔は完璧なのにね...」
「ちょっとやめてよ!顔はいいのに性格が...みたいな顔するの!」
「よぉくわかったねw」
自分でも自覚はしている...
外見と中身が釣り合っていない、と。
この学校に入りたての頃は王子様だ!と騒がれていたにも関わらず今はこのドジな中身のせいでダメ王子というあだ名がつく始末だ。
「澪はいいよね...カッコよくてスポーツできて勉強できて人気者で...」
「そお?俺鳥ちゃんの顔タイプだよ?」
「その鳥ちゃんって呼ぶのやめてくれない...?」
「え~いいじゃん!小鳥遊紬だから鳥ちゃん!」
「まあ...もう慣れたけど...」
「そういや2年になって1週間たったけど鳥ちゃんの隣の人来てないね」
「確かに、もう来ないのかな...」
「さあ?どうだろうね...」
「澪、あのさ」
「なあに?」
「告白しようと思う」
「え、御影に!?」
「え、誰?御影って」
「あ、いや何でもない...で、誰に?」
「それは...内緒、だけど」
「俺鳥ちゃんの恋愛話1つも聞いたことないんだけど!?どこの誰なの~!?」
「...成功したら教えてあげるよ」
「え!?本当!?なら成功を祈ろう」
「...まあ叶うわけないんだけど」
そう。僕は今日告白をする。
叶うはずのない相手に。
下駄箱に手紙は入れて置いたしあとは勇気を振り絞るだけだ。
僕の本当の願いを彼に叶えてもらうために。
放課後
「...約束の時間だ...」
期待と緊張が膨らんで少し早足になりながらも僕は約束の場所に向かった。
場所は美術室。僕のお気に入りの場所だ。
教室の前にたって深く息を吸いそっと扉を開けた。
そこには綺麗な茶髪を靡かせた彼がいた。
「...蝶羽君」
「なあに?こんなところに呼び出して」
「ぼ、僕...あの、蝶羽君が...!」
「蝶羽君って呼ばれるほど仲良かったっけ?」
「え、えっと...」
「君さあ僕のこと軽くストーカーしてるよね?」
「それは...!そのっ」
「はあ...もういいでしょ、僕有栖待たせてるから帰るねじゃあ」
「ちょっと待って!!!」
僕は思いきり蝶羽君の手を引っ張った。
「好きなんです!!大好きなんです!!!付き合えないのはわかってます...!だからせめて1度だけ1度だけ...僕を抱いてください!」
自分でもヤバいことを言ったのにはすぐに気づいた。
それでも蝶羽君の目を真っ直ぐ見つめた。
「...それって結局体目当てってことじゃん」
「ちが...」
「違わなくないでしょ。別に男だからとかそんなんじゃなくて...僕には好きな人がいるから無理です。これでいい?じゃあ本当人待たせてるから」
「あ、ありがとう...」
わかっていた。
彼に振られることも。彼に好きな人がいることも。
だけど止められなかった。言いたかった。伝えたかった。
「...っ」
「なんでだろうなあ...?振られるのなんてっわかってたのにぃ...!何で涙でてくるのおっ?」
目から溢れる涙は拭いても拭いても止まらなくて僕はそのまま1人美術室に残っていた。
帰り道、微妙な時間帯だけあってほとんど誰も歩いていなかった。
なんだかむしゃくしゃしてきた!
フラれるのは分かってたし!蝶羽君は1ミリも悪くないんだけど!!!
ああこのままラブホにでも行ったら誰か適当に相手してくんないかな。
この際誰だっていいからさあ。
「僕の初めて奪い去ってよ...」
「奪い去ってやろうか?」
グイッといきなり手を引っ張られ視界が暗くなる。
「えっだ、誰!?」
「君と同じ高校の人だよ」
「え、ちょっ!」
そのまま見たことのない建物に連れていかれる。
突然のことに驚きながらも悪い気はしなかった。
「ってフラれたんですよお~(泣)」
「そっか、辛かったね」
あの後このお兄さん(?)はホテルの個室を借りてくれてひたすらに話を聞いてくれた。
僕の話を真剣に聞いてくれて頭も撫でてくれるもんだからついつい甘えてしまった。
「...あの、もっとやばいこと、言っていいですか」
「ん?なあに?」
「あの、1回でいいから...抱いてくれませんか?」
初対面の相手に僕は何を言っているのだろう。
でもそのお兄さんは侮辱するわけでもなくただただ優しく微笑んで「いいよ」と言ってくれた。
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