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第7話
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いつ見るかわからないからと定期的に白雪に送ったメッセージを見ていた。
すると今まで既読が付かなかった俺のメッセージに既読が付いた。
俺は急いでメッセージを送った。
すると『生きてるよ』
とメッセージが送られてきた。
その言葉がなぜか『生きてるよ』ではなく『生きるよ』と書いてあるような気がした。
今なら連絡が付くかもしれないと思い急いで電話を掛ける。
すると3コール後に懐かしい声が聞こえてきた。
「もしもし?」
「・・・どうかした?」
全力で走っているのだろう少し息苦しそうな声が聞こえてきた。
「・・・お前、どこにいんの?」
俺の声は震えていないだろうか。
「ちょっと、今忙しいから・・・そろそろ切るね。」
一ノ瀬の質問に答える気がないのだろう電話に出たばかりなのに白雪は切ろうとした。
だが、やっと捕まえたんだ。一ノ瀬がそう簡単にこの機会を逃すわけがない。
「どこにいるか聞いてんだよ!」
迷惑をかけると思って言わないのは重々承知だ。
だが、ここで白雪のことを見つけないと本当に自分の前から永遠に消えてしまいそうで。
今まで一ノ瀬のこんな必死な声を聞いたことがないからだろう。一瞬、電話の向こうで驚いたような声が聞こえた。
だが、白雪は深呼吸をしてしっかりとした口調で言い放った。
「言わないよ」
絶対に言わないつもりなんだろう。だが、その言葉の後ろで聞いたことがある音楽が流れていた。
「・・・そうか」
俺がそういうとほっとした声が聞こえた。
「じゃあね」
白雪はそういうと電話を切った。
白雪は俺が自分のもとに来ようとしていることを諦めたと今頃思っているだろう。
残念だったな。
「あの音楽は、大学近くのショッピング街」
そうと分かればそこに向かうだけだ。
今まで沈んでいた気持ちが嘘のように一ノ瀬は走り出した。
一ノ瀬と声を聞いたからだろうか、今なら逃げ切れる気がする。
好きな人の声を聞くと何でも頑張れる気がするってこうゆうことなんだとそんな余裕なんてないのにくすりと笑った。
この人ごみに紛れてしまえば何とかなる。
そう思い必死に走った。
そういってどれくらい走っただろうか。
後ろを振り返るとそこには自分を追ってくる人間が見えなかった。
そこで気が緩んでしまったのだろう。
急に裏道から腕を引かれた。
「なっ!」
失敗した。完璧に逃げきれたなんて先回りされていたんだ!
そう思い白雪は男の腕から抜け出そうと暴れた。
「くそっ!離せっ!」
すると急に口を押えられて耳元で先ほど電話越しで話した声が聞こえてきた。
「朔夜!落ち着け!俺だ」
その声に朔夜は暴れるのをやめた。
もう、これ以上 白雪が暴れないことがわかると一ノ瀬は口元から手を離した。
「・・・・何でここにいるの?」
白雪が驚いたようにこちらを見ていたので一ノ瀬はしてやったりという表情をした。
「お前、追われてんだろ?とにかく逃げるぞ」
そういい一ノ瀬は楽しそうに白雪の腕を引いた。
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