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第18話
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本当は記憶はすぐに戻っていた。
何ならご丁寧に失ったときの記憶もしっかりと残してくれていたらしい。
それでも俺は記憶を失ったふりをする。
記憶を失ったこんなめんどくさい玩具にかまっているほど暇ではないだろう。
そう思っていたのに一ノ瀬は自分のことを家で面倒を見るという始末。
「・・・記憶、取り戻したことにしちゃう?」
でも、記憶を取り戻したことがわかったら飽きてもうここには来てくれなくなる?
「・・・本当に嫌になるほど女々しいなぁ」
白雪がため息をつくと『とんとん』っと扉をたたく音が聞こえてきた。
一ノ瀬だろう
白雪は口元を引っ張り鏡を見た。
「うん、ちゃんと『記憶を失った白雪だ』」
そういい「どうぞー!」と返事をしたのだった。
「今日は小説を持ってきてくれたんですか!?」
すごく嬉しいっと笑顔を向けると一ノ瀬も嬉しそうに笑った。
この人は表情まで自由自在なのかと思うと感心した。
幼馴染で全く猫を被っていたことに気が付かなかったのだから演技がうまいのだろう。
「今度、何か欲しいもんあったら何でも言えよ。持ってくるから。」
その言葉に白雪は笑顔で頷くのだった。
そして、とうとう退院の日がやってきてしまった。
あれから、記憶を取り戻しましたということが出来ずに日が経ち今日だ。
今日から俺は彰人の家でお世話になる。
何故か彰人は迎えに来た時から機嫌がよくルンルンしていた。
「何かいいことあったんですか?」
俺が聞くと一ノ瀬は少し困ったように笑った。
「朔夜と一緒に入れると思ったらテンション上がっちまった見たいだ。」
その言葉に白雪は固まった。
少し恥ずかしそうに頬を赤らめている一ノ瀬。
白雪に惚れているかのような態度にずっと違和感を覚えていた。
「・・・・・そっか・・・・。」
「何か言ったか?」
「ううん!何でもないです!」
そっか、今度は記憶のない俺を好きにさせてから捨てるっているゲームを始めたのだろう。
そうわかると白雪の心は凍ったように冷たくなったのを感じた。
わかった。思い通りにしよう。
捨てられた後に命を絶ってしまえばいいのだから
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