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第23話
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さぁ、出てきたのはいいけどどこに行こうか。
自分の家に戻ろうと思ったがもうあそこは彰人に解約されてしまっている。
「一緒に住むからあのアパート要らないよな」
そういい勝手に解約をしてきたと言われたときは本当に驚いた。
今更、アパートを借りるお金すらないしな・・・。
「まずは、仕事さがさないとなぁ・・・。」
白雪は歩き出したのだった。
「はぁぁぁぁぁぁ」
今日すぐに仕事が見つかるとは思ってもいなかったが流石にすべて断られるとメンタル的にもやられてくる。
「もうこんな時間だしどこかに野宿ぁ・・・。」
白雪が歩きだそうと一歩踏み出すと後ろから懐かしい声が聞こえてきた。
「朔夜?」
ゆっくりと振り返るとそこにはずっと心に引っかかっていた卯月が驚いたようにこちらを見ていた。
「・・・柊ちゃん・・・・。」
白雪が名前を呼ぶと卯月は嬉しそうにほほ笑んだ。
そしてその笑顔を見た白雪はなぜかほっとした気持ちになった。
「朔夜っ!」
卯月は思いきり白雪のことを抱きしめた。
「大丈夫?朔夜痩せた?ただでさえ細かったのに・・・顔色凄く悪いけど大丈夫?どこかで休む?っというか僕の家においで。すぐそこだから」
卯月の質問攻めを受けて白雪はくすりと笑った。
「そんなにいっぱい質問されても答えられないよ。」
白雪の言葉に卯月は自分が質問攻めをしていたことに気が付き『ごめん』と謝った。
「とにかく、ここじゃ落ち着いて話もできないし、顔色が悪いから休んだ方がいい。僕の家、すぐそこだからおいで。」
そういいこちらに手を差し伸べた。
そんな様子を見ていた白雪はくすりと笑いその手を取ったのだった。
「で?どうしてそんなにやつれているのかな?」
「えっ・・・とぉ・・・・。」
先程までの卯月と打って変わってものすごく怒っていることが感じ取れた。
「朔夜?」
有無を言わせないような表情に白雪は降参した。
そして今までの経緯を包む隠さずに話したのだった。
その際に卯月の怒りが増幅しているのを気づかないふりをしたのだった。
「ちっ、あいつ、さんざん言ったくせして何も守れてねぇじゃねーか。」
ぼそりと卯月が吐いた言葉は聞こえてない聞こえてない・・・!
「それで?朔夜、これからどうしようと思っているの?」
卯月の言葉に白雪は下を向いた。
「まだ決まってないけど・・・とにかく仕事見つけないとって思ってる。」
「うん、住む場所はどうするの?」
「住む場所は・・・・公園のベンチ?」
「うん、朔夜はどうしても僕のことを怒らせたいみたいだね?」
卯月の言葉に白雪は必死に首を横に振った。
「朔夜?僕が前に言った言葉覚えてる?」
卯月の言葉に白雪は首を傾げた。
その様子を見て卯月はため息をつき白雪の目を見た。
『なにか、困ったこととか助けて欲しい時はいつでも気軽に呼んでよ。僕は、朔夜が呼んでくれればいつでも助けに行くから』
その言葉を聞いて白雪は目を見開いた。
「その表情は忘れていたわけじゃなさそうだね?」
「朔夜?今が助けを呼ぶ時だと僕は思うなぁ」
そういい卯月は笑ったのだった。
その表情を見て白雪は今まで我慢してきた感情があふれてきた。
「朔夜?朔夜はたった一言だけ僕に言えばいいんだ。」
その言葉が何かはわかるよね?
卯月の言葉に白雪は唇を噛み締めた。
本当にこの言葉を言っていいのだろうか。
俺は自分から柊ちゃんの元を離れたのに?
それも自分勝手な理由で。
なのに迷惑をかけていいの?
白雪はゆっくりと卯月の方を見た。
「ん?」
卯月の表情がその言葉を待っていると伝えていた。
「・・・・柊ちゃん・・・・。」
「なぁに?朔夜。」
「・・・・たすけて・・・・。」
「まかせなさい!」
卯月は嬉しそうにほほ笑むのだった。
その表情は白雪にとってとても頼もしいものだった。
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