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宿題
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4.
「すーみーざーきー」
宮本の声がする。あれ?なんかオレ、記憶飛んでる?どうして宮本がオレん家にいるんだっけ?ていうか、そもそも今、家か?
あぁ、そうだ。宮本が理科のノート写させろってしつこくて、オレん家まで押しかけてきたんだった。三軍降格の話されて、落ち込んだけど、宮本に励まされて、安心して…それからの記憶が…。
「犯すぞ」
「はっ!?」
遠くに聞こえていた宮本の声が、急にハッキリと聞こえた。その内容のせいというよりも、いつの間にか眠っていた事に気づいて、オレは勢い良く飛び起きた。
「残念、起きたな」
「変な気 起こすな!男相手に!」
「はぁ?マジで言ってんの?」
「何がっ」
と、オレが抗議しようとすると、宮本の顔がズイと近寄ってきた。思わず口淀んで後退ってしまう。
黒目がちなつり上がった目にオレが捕らえられている。脱色した、少し硬そうな髪の毛は赤茶色く染まっていて、長めの前髪がオレの顔にかかりそうなくらい、顔を近づけられた。
「オレ、言ったよな?お前のこと好きだって。これは、オレの目の前で寝た鷲見崎が悪い」
少し突き出された薄めの唇から、チラリと覗く八重歯。オレはこれを見る度に、なんとなく悪魔を連想してしまう。宮本だから、というのも否めない。
「お前、正気かよ。男だぞ、オレは」
「そんなことはもう、通り過ぎてんだって。オレにとって鷲見崎は、犯したいくらい可愛い」
なにを、言ってるんだこの男は。ヤバい、頭が混乱してきた。寝起きでただでさえ回っていないのに。
「ちょ…待って」
なんか、顔が熱い。どうせいつものからかいだろう。分かってるのに、こういうのに免疫なくて、本当に困る。
いつの間にか間合いを詰められていて、オレの背中には壁が迫っている。逃げ場を失ったオレは目が泳いで、顔を逸らすことしかできなくなってしまった。すると不意打ちに、宮本がオレのこめかみに口づけをしてきた。
「はぁっ!?」
「我慢とか、もうけっこう限界なんだけど。でもフェアじゃないよな。今日はこれで我慢する」
そう言って、次は首筋に口づけられて、更に舐められた。そんなところに触れられたのは初めてで、なんとも言えない感情が、熱になってゾワッと上がってくる。
「やっぱり我慢出来ないから口にも…」
「いい加減に、しろっ!」
エスカレートしていく宮本の顔面を、オレは思いっきり押しのけた。「ぶっ」と不細工な声がして、ベットから転落した宮本は、鼻をおさえ、オレの顔をジト目で見てくる。
「どうやら、よーくオレの気持ちが分かったようだな」
そんな事を言われ、否定も肯定も怖くて出来ず、ただ舐められた首筋に手を当てて宮本を見た。いつの間にか息があがっている。
そんなオレの様子に少し満足気な宮本は、机に置かれた自分のノートと筆記用具を持って、立ち上がった。
「課題終わったから帰るわ。またな、鷲見崎」
「もう、絶対不覚はとらない」
「ははっ!その方が攻略しがいがあるな」
そう言って、宮本が部屋を出ていく。扉がきちんと閉まったことを確認して、オレはその場になだれ落ちた。なんて日だ。
ふと、宮本がさっきまで使っていた机に目が行く。そこにノートの切れ端があって、何かが書いてある。オレは近寄ってそれを手にし、文字に目を滑らせた。
『すみ崎 要への宿題。三軍げこくじょー試合で、かならず二軍へ上がること。なお、できなかった場合は、宮本 一磨のものと強制的になるべし』
「なっ、なんじゃこりゃーっ!!」
きっとこの嘆きは、宮本が歩く外まで聞こえたことだろう。八重歯を見せて楽しそうに笑う宮本の顔が想像できた。
――思い通りに、なってやんねぇからな…!
オレはそう心に決め、三軍降格の日のことを思い出すこともなく、二軍に戻る為のスケジュールを立てだした。今日進める予定だった勉強のことも、すっかり忘れて。
to be continued...
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