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校内戦
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4.
「お疲れ」
三軍下克上試合は、見事その試合の意味を果たした形で終了した。きっとこれで、鷲見崎を捕えるものは多少なくなっただろう。
小さな期待を抱いたオレは、鷲見崎の家の前で待ち伏せしていた。帰ってきた鷲見崎は一瞬驚いた顔をしたが、オレにも「お疲れ様」と柔らかく返した。最近のトゲついた口調は抜けている。どうやら心の荷が降りたみたいだ。
壁につけていた背中をはがして、鷲見崎に近づく。晴れ晴れとした顔に安心していると、パッと目の前に、ノートの切れ端を出された。オレが書いた、鷲見崎への宿題だ。こうして健気に持っているところが、本当に可愛い。
「達成できたから、これは無効で」
「はいはい、そーですね。お祝いに何かやんねぇとな」
「そんなのはいいよ。今からチームの人たちとご飯行くことなったから。みんなそうとう嬉しかったみたいで…」
そう話しながら家へと入って行こうとする鷲見崎の肩を引き寄せて、無理矢理振り向かせた。額に、口付けをする。土の匂いがした。
「なっ!?」
「オレからの、お祝い」
ブワッと音がなりそうなくらい、勢いよく顔が赤く染まる。そのまま押し入って、家のドアを閉めた。
「こんなの、お祝いになるかっ!」
「はぁ?全国の高校野球で名が知られている、この宮本 一磨の愛情以上のお祝いがあるか」
「このナルシストが」
「違う、事実だからー」
そう言って、オレは鷲見崎を抱きしめた。腕いっぱいに鷲見崎のにおいとぬくもりが広がる。そのまま頭を撫でてみた。
「ちょ、なに?」
「お疲れ、鷲見崎。よく頑張ったな。黙ってオレに、甘やかされておけよ」
「な、んだよ…変なやつ」
硬くなっていた身体に少し力が抜け、抵抗を諦めたのか、鷲見崎が大人しくなった。やっぱり抱きしめ返してはくれなかったけど、オレの胸元に鷲見崎の額がひっつく。ああ、ちょっと心許してくれてる。感動。
オレはよしよしとずっと頭を撫で続ける。なんだか気持ちよさそうに、鷲見崎が目を閉じた。本当はもっと色んなところにも触れたいんだけどな。まだ我慢我慢。でもこの感じならキスくらいしても…。
「なんか宮本…」
そんな思考を巡らせていると、ふと鷲見崎がオレの名を呼んだ。まさか、ちょっとはその気になったのか?
「ん?なに?」
期待を込めて返事をしながら、オレのもう片方の手は、背中から腰へと降りていった。
「いや。父さんみたいだな、と思って」
ガンッとオレの頭に衝撃が走った。父さん?父さんって身内のことだろ?親のことだよな?マジこいつ、デリカシーねぇ!
「鷲見崎のアホー!!」
「え、なに!?」
あまりのショックに、オレは泣く泣く、その場を立ち去った。オレの男としてのプライドずたぼろだわ!まぁ相手も男だからだろうけどなっ!
いつか絶対ドキドキさせてやる。覚悟しとけ!鷲見崎のアホアホ!!
to be continued...
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