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Side Story 阿久津の受難1
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1.
某焼肉店。食べ放題があり、値段がそこそこ、肉もそこそこの この場所は、野球部の決まった打ち上げ場所になっている。
三軍から、今日の校内戦で二軍に昇格、もとい戻ることが出来たオレたちのチームは、今日もここで打ち上げをすることになった。
「あっくん、今日はここでバイトじゃないの?働いてるあっくん、新鮮で面白いのに」
「うっせ。毎日してっと練習出来ねぇだろうが」
「でも偉いよな。練習着とかスパイクとか、自分で買ってるんだろ?親孝行だよなー。ギャップありすぎ」
「褒めるのか貶すのかどっちかにしろよ」
「褒め言葉だから」
チームメイトが馴れ馴れしく話しかけてきて、オレの適当な返事に笑っている。最初はこんな風にチームの奴らと馴染めるとは、自分でも思っていなかった。
自分で言うのはなんだけど、オレは子供の頃から人嫌いで、中学の時には一匹狼ぶっていた。見た目も厳ついと言われるし、目が合う人間を挑発し、よくトラブったもんだ。
『そんな元気有り余ってるなら、野球でもするか?』
高校に入って足の速さを買われ、当時のキャプテンから誘われて本格的に野球を始めた。もともとアネキに連れられて草野球をしていた経験もあったから、それなりに出来て、楽しいと思えた。バイトをするようになって、人付き合いも多少学び、そしてここの同級のメンバーが良かったのと、瀬野尾先輩の人柄のお陰で、今こうしていられる。今は普通に感謝している。
「すみません、遅くなりました」
集合時間5分前に、鷲見崎が入ってくる。みんなが「まだ時間じゃないから大丈夫」「お疲れー」と声をかけ、鷲見崎がはにかんだ。淡い青色のTシャツに、黒のジーンズというシンプルな格好。スタイルがいいから、シンプルでも不思議とお洒落に見える。
進行役から当然のように瀬野尾先輩の隣に座らされ、いつもの2人が並ぶ。つい、目で追ってしまう。
「可愛いよな、鷲見崎」
心の声がもれたかと思って驚くと、声の主は隣に座っていた同級の叶(かのう)だった。視線の先で、鷲見崎が瀬野尾先輩に笑いかけている。
「ビビッたー…なに?」
「いや、美人か。鷲見崎ってその辺の女子より美人だよな」
「そんなの、本人は嬉しくねぇだろ」
「まぁそうかも。けど事実。性格も良いとこっぽい雰囲気あって、ウチじゃあんまりいない逸材だよな」
「まぁ荒いからな、ウチの部は」
「女子だったらなぁ。だけどそれじゃウチの学校にはいないか」
「女子でもお前に興味はねぇよ」
「あっくん酷い!」
ビックリした。鷲見崎のことをそういう風に思ってる奴が他にいたとは。ということは、オレの感覚がズレてておかしいワケじゃないってことか。少し安心した。
「てゆーか、なんでみんな、ああやって瀬野尾先輩とセットにするんだ?マジであの2人付き合ってんの?」
「疑惑はあるけど、多分違う。ただ映えるからだと思うよ」
「映えるぅ?」
「この場合、見てて目の保養になるってことかな。美男美女的な」
「はー…」
「瀬野尾先輩と鷲見崎ならアリだけどな。ちゃんとカップルになりそう」
「おい やめろよ、そういうの」
「でも攻められる鷲見崎とか、普通に興奮する」
「お前な…」
いや、まぁ…興奮するけど。
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