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「あー!くそおやじ!まじキモイ!」
「おかえりあっきー」
「おかえり」
ずかずかと帰ってくるなり暴言を吐きながら自分の席に腰掛けた晃。そんな晃の分のビーフシチュー取り分けに行く光。本当に、俺たちはうまく回っていると思う。
「ユキ聞いてくれよ!今日の俺のお客さぁド変態だったんだよ!」
「へ、へぇ…どんな?」
「パパって呼んでくれないか?ハァハァ。パパお願い…ハァハァ…僕のここぐちゅぐちゅして?って言ってくれないか?ハァハァ…」
「お、おう…」
「だー!!ハァハァうるせーんだよオヤジ!キモイ!死ね!」
「大変だったんだな」
晃は見ての通りのこんなやつだからお仕事には向かない。光とは対象的で常に反抗的。だけど仲間思いの優しいやつ。普通に暮らしていたら間違いなく幸せになれそうな晃がこんな所にいなきゃいけないなんて、この世界はやっぱりどこか狂っている。
「あっきー、これ食べて落ち着きなって」
「うお、ビーフシチューじゃん!珍しい!」
俺たちの食事は、定期的に島木さんが買ってきてくれる食材で賄われる。料理なんてしないであろう島木さんが買ってくる食材は毎回ジャンルがばらばらで、それを使ってうまく料理してくれる光がいなかったら自殺する前に飢え死にしてたと思う。
「光は?今日はなんともなかった?」
「うん。いつも通りだったよ」
「ちくしょー…なんで俺だけ…あんなキモオヤジ…」
「あっきー、食べながらしゃべらないでよ」
いつも通り。そう、いつも通り。
見ず知らずの男たちに体を売って、言われた通りのことをする。そんな異常な仕事も、俺たちにとっては普通のことなのだ。
「あーあ…地球なんて滅亡しちまえばいいのに」
「全員死んじまえ」と付け足して呟いた晃の言葉に、たぶん俺も光も、心の中で賛同していた。
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