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「…え?」
「だから、君らは今日でおしまい」
「そ、それって…」
「うん。もう帰っていいよ。晃くんみたいに家まで送ってってあげるから」
その日は突然やってきた。
いつも通り仕事内容を聞きに事務所に上がった俺と光に言い渡されたのは、仕事内容ではなく突然の解雇宣言だった。
「今までお疲れさまね。またなんかあればウチに稼ぎに来てくれていいから」
ぽかんとしたまま動けずにいた俺たちを、島木さんはいつものように笑いながら早く準備してきなさいと促した。半ば放心状態のまま地下まで戻ってくると、光は気の抜けたように食卓の椅子に腰を下ろした。
「なんで…?どういうこと…?」
「光…」
何も知らない光はこの状況に動揺していた。
「僕の借金、まだまだあるんだよ?なのにどうして?もしかして両親が自殺でもしたの?」
「光っ…」
「ははっ。僕に全部押し付けて…こんなとこに売ったくせに。なんでそんなことするの?僕に悪いことしたなあとか思ったのかな?」
「違うんだって!光、これは…」
ぶつぶつと独り言のように喋り続ける光の肩をつかみ、無理やり目を合わせながら俺は震える唇を開く。
「今回、俺たちが解放してもらえたのは…」
俺は正直にきのうの出来事を光に話した。椎葉さんという客の存在。その人と取り引きをしたこと。そして、椎葉さんが俺たちの借金の支払いを済ませてくれたことを。
「…なんだ、そういうことだったの」
「光?」
「なに?自分だけ上客に気に入られて、そんな今の自分なら可哀想な僕を救えるとでも思った?」
「そんな…ちがっ…そんなこと思ってない…!」
自分が解放されたいという思いが一番強いのは事実だった。でも、光のために、光も一緒に。そう思って昨日の判断を下した俺に光から返ってきた言葉は、想像もつかないくらい鋭利なものだった。
「ユキも僕やあっきーと同じで、嫌々この仕事をしてる仲間だと思ってたのに。違ったんだね。客に愛想振りまいて取りいってたんだ」
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