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膝のあたりで引っかかっている下着とジーンズ。首筋にくっきりと歯型の浮かぶ上半身。そして俺が今いる場所。自分が置かれている状況を改めて確認すると、虚しくて情けなくて涙が止まらなかった。
なんだこれ、最悪だ。島木さんの所にいた時よりも酷いじゃないか。
手の甲で溢れる涙を乱暴に拭いながら、急いで脱がされた服を身につけていく。引き上げたジーンズのポケットに小さくて重い感覚があることを確かめて、俺はそのままトイレから飛び出した。
遠くから少しくぐもった海翔の歌声が聞こえてきた。
海翔は、俺がいないことに気付いただろうか。心配してくれているだろうか。
海翔の歌を最後まで聞いていたかったけど、こんな状態で戻れるわけもなく、俺はそのまま黙って店を出た。コートを席に置いてきてしまったせいで冬の夜の空気が肌に痛い。それでも後戻りはせずに、そっと扉を閉めて夜の町中へと駆け出した。
きらきら光る金色のクマ付きの鍵。それをぎゅっと握り締めながら、いつもは二人で帰る夜道を今夜は一人で静かに急いだ。
「…ゆきや?」
どれくらいの時間が経っただろう。
俺がここに戻って来て、肌が赤くなるくらい何度も体を洗いベッドに潜り込んだあの時から。
暗い部屋の中でじっと涙を堪えていたら、仕事を終えた帰宅したらしい海翔が真っ直ぐ俺の部屋をノックする音が聞こえてきた。
「いるんだろ、開けるぞ?」
返事をせずに無言を通していたら、間接照明の明かりとともに海翔が暗い部屋の中に入ってきた。
「どうした?突然いなくなるからすげえ心配したんだけど」
ぎしりとベッドが軋む音がして、そっと頭から被っていた布団から顔を出すとすぐ近くに海翔が座っていた。
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