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『悪い。仕事が終わりそうになくて、まだ帰れない。部屋に入ってろよ。』
恵は、浅科のマンションのドアの前でそのラインの文面を読み、ため息を漏らした。
こんな時のためにと渡されていた合鍵をドアの鍵穴に差し込む
ガチャリ、と金属の擦れる冷たい音を鳴らして鍵が開いた。
ドアを開けると、嗅ぎなれた匂いが鼻を掠める。
清潔なシャツと同じ、あの人の匂い。
静まりかえった部屋は、恵を何とも言えない気持ちにさせた。
会社員の浅科と、大学生の恵。
何の接点も無さそうな二人が、偶然の積み重ねで知り合い付き合う様になって数ヶ月。
夕飯を一緒に食べて、短い夜を共に過ごすのは日課となりつつあった。
「いいけどさ、別に…」
ため息まじりにそう零すと、恵はリビングのソファに身を預ける様に腰を下ろした。
スプリングが軋んで、浅科の匂いが濃く鼻先を掠めて、
恵は欲求が沸き立つのを感じた。
何時に帰って来んだろ……
スマホをスクロールして、時間を見てはため息を零す。
見慣れた部屋で、行き場の無い昂りが募っていく。
ふと、ソファの端に畳んで置かれたTシャツが目に留まり、恵はソワソワしだす胸元に手を当てた。
「……何考えてんだ俺、」
自分に言い聞かせる様に呟いて、その誘惑を目の届かない場所に移そうと手に取った。
瞬間、スルッと何かがTシャツの間からすり落ちた。
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