アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
「結構買ったな。」
「はい、買いすぎちゃいました。」
山野さんのお家に戻ってきたおれたちは、買ってきた雑貨を並べた。
マグカップに、お箸、お皿が数種類と、ここで過ごすための服や下着。
買い揃えられて並んでいくそれらに、何だか嬉しくなって、山野さんに抱きついた。
「これでいつでも泊まれるな?」
「はい!」
とは言っても、毎日なんてお互い無理だから、結局は週末とかになると思うんだけど・・・。
それでも、「いつでも」って言ってもらえると嬉しくて、ギュッと腕に力を入れた。
------------※ ※ ※------------
そんな幸せな週末を過ごしたおれは、月曜日、うんざりしながら電車に乗っていた。
やっぱり満員電車って嫌いだ。
みんなギスギスしてるし、香水臭い人もいるし、足も踏まれるし、背中押されるし。
それに、痴漢だって思われたくないから、両手を上げて電車に乗ってるけど、すごくバランス悪い。
それでも、危険回避は必要だった。
・・・こういうの、男って損だよね。
そう思っていると、ふわっと耳元で囁かれた。
「・・・んっ!」
「おはようございます。」
「か、課長?!」
信じられない事に、おれのすぐ後ろに立っていた。
「お、おはようございます。」
「偶然だね。」
凄く近いから、耳元に息が当たって、ゾクゾクした。
それがめちゃくちゃ嫌で、体を捻ろうとしたけど無理だった。
「そ、そうですね。」
満員電車の中だから、ヒソヒソ話だ。
でもそれが余計、背筋にキた。
「この路線なの?」
「は、はい。」
中山課長は、ゾクゾクしているのに気付いていないのか、話を続けてきて、電車を降りる時には、おれはヘトヘトになっていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 108