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「おはようございます。」
「おはようございますって、どうしたの?げっそりしてるけど。」
派遣の寺田さんから心配された。
だって、だって!!
頑張って耐えたおれを褒めて欲しい!!
会社に着くや否や、速攻でトイレに向かった。
顔を洗いたかったのと、ずっと息が掛かっていた耳を拭きたかったからだ。
中山課長には申し訳ないけど、おれ、山野さん以外、パーソナルスペースに入られるの無理なのかもしれない。
ずっと気持ち悪くて仕方が無かったからだ。
一足先に職場に入っていた課長は、すでにノートパソコンを開いて涼しげな顔をしているけれど、おれはまだパソコンを開く気分になれなかった。
「・・・実は課長と電車で遭遇して。」
「あら・・・。」
寺田さんは、お気の毒、というような表情をしてくれた。
それだけでも、ほんの少しだけ気持ちが治まる。
でも思い出す度に、かかる生温かい息と振動で触れる体に嫌悪感がニョキニョキ育って来てしまって、とりあえず今日一日、課長とは会いたくなかった。
「何かされたの?」
「ううん、されたって訳じゃないけど・・・って、え?」
寺田さんがにっこり笑った。
「セクハラの泣き寝入りはダメよ。」
「ええ?!」
あれってセクハラなの?!
っていうか、寺田さん、何?!
「女のカン。」
ひぇぇ!!
なんか全て見通されてるようで、びびった。
「課長、結構、甲斐さん見てるから、そうなのかなって。」
「え、マジですか。」
小さく頷いた寺田さんは、わざと眉間に皺を寄せて怖い顔をしてみせた。
「分かんないけど、気をつけた方がいいかもね?」
「ひぇぇ、ありがとうございます。」
何だかお尻が冷たくなった。
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