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遠野内科の松島さんは、事務長だ。
個人病院としては大きな部類のその病院は、消化器系が得意で、胃や腸に問題を抱える人が足繁く通っている。
入院施設もあり、看護師の数も多い。
奥様は薬剤師で、院内で処方される薬は、奥様のチェックがかかるようになっている。
「事務方の決裁は、わたしが責任者ですが、経営に関しては奥様と院長がされていますからね。」
返事が遅れてすみません、と笑ってくれた。
松島事務長は、40代だ。
もともと院長、奥様と一緒に大きな総合病院で働いていらしたそうだ。
優しげな目元を細めて笑ってくれると、気持ちが安らぐ。
まだ若いのに引き抜かれて事務長をされているのは、かなりのやり手という事なんだと思う。
「とんでもないことです。でも、ご連絡を頂いた時は、飛び上がるほど嬉しかったです。」
「アハハ!正直な方だ。」
松島さん、笑うとエクボが出るんだ・・・。
笑いエクボが少しだけ羨ましいな。
「もしよろしければ、飲みに行きませんか?」
「え、ご一緒してよろしいんですか?!」
最近、飲み会に誘われる機会が多い気がするのは、たぶん気のせいじゃないかも。
「近くに安くて美味い店があるんです。もちろん仕事抜きで親睦会をしませんか?」
「嬉しいです!ありがとうございます。」
仕事抜きってことは、領収書が切れないし、それにプライベートでの飲みってことで・・・。
ちょっぴり嫌な気持ちと、ちょっぴり嬉しい気持ちが混ざった。
「じゃあ、早速、今夜どうですか?」
「分かりました。何時ごろ終わられますか?」
あ・・・、もう無理。
断れないや。
「病院は18時までなので・・・19時頃になります。甲斐さんは?」
「わたしも同じくらいです。」
あれよあれよという間に、待ち合わせ場所も決まった。
「じゃ、そういうことで。」
「はい、ではまた後で。」
・・・プライベートだけど、プライベートじゃない変な感じ。
これって、山野さんに言ったほうがいいのかな?
そう思いながら、おれは頭を下げた。
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