アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
24
-
想像していたより、山野さんの到着は早かった。
「え、寝てなかったの?」
「ううん、寝てました。」
ちょっとボーッとする。
するけど、ちいさい嘘をついた。
だらしないヤツって思われたくなくて、テーブルの埃を拭って雑誌を部屋の角に積んだ。
パジャマがわりのヨレヨレのTシャツは、洗濯機の中だ。
持ってる部屋着の中でマシなヤツを引っ張り出して着ている。
そこまでしたら、当然だけど・・・。
「熱!あるじゃん。」
「え、本当ですか?」
そういえば、ゾクゾクする気がする。
自覚した瞬間、腰から下に力が入らなくなった。
「ほら、病人は寝る。」
「すみません。」
学生の頃に使っていた聴診器を自宅から引っ張り出して来たと笑った山野さんは、めちゃくちゃ優しい顔で。
嬉しくて、鼻を啜った。
「ほら、あーんして。」
ふふ、スマホのLEDライトが眩しい。
「んー・・・少し赤いな。」
「ほ、ですふぁ。」
舌圧子(ぜつあつし)の代わりに、カレースプーンで押さえられた不自由な舌を動かした。
「ん。いつから?」
「自覚したのは、部屋に帰ってからですけど。」
あ。
「関係あるのか分からないですけど、途中吐きました。」
「え。」
布団を捲られて、部屋着をたくし上げられた。
少しひんやりした空気と、山野さんの冷たい指先に、ぴくりと体が動いた。
「ごめんな、手冷たくて。」
自身の手を擦り合わせて温めてくれた手でお腹や胸の触診をされた。
「ここ、痛くない?」
「大丈夫、です。」
お医者様としての山野さんに、ときめいた。
真剣な顔が自分に向けられていると思ったら、堪らなく嬉しいし、キュンキュンした。
・・・やっぱり、好き。
すごく、好き。
「・・・腫れてはいないけど、気になるから明日、血液検査しようか。」
「え。」
血液検査?
「明日、病院においで。」
いやいやいやいや、ちょっと待って。
「大丈夫!大丈夫だから。」
「いんや、ダメ。心配だから。」
ああ〜!!
キュンで死んでしまう!!
「で、でも。」
「でもじゃない。甲斐くんに何かあったら、俺の気が狂う。」
死んでも良い!!
「山野さん、好き。」
「俺もだよ。」
ああ、あんなに落ち込んでたのに嘘みたい。
幸せで幸せで、飛んでしまいそう。
感情の起伏が激しくて、自分についていけない。
熱くなった体を布団に包まれて、頭をいいこいいこされた。
おれは嬉しくて、その手に擦り付けるように額を押し付けた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
24 / 108