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山野さんが作ってくれたのは、具沢山の雑炊だった。
「わ、美味しそう!」
「野菜とか久しぶりに切ったよ。」
白菜がなかったらしく、かわりに小さく切ったジャガイモが入っていた。
「うわ、ほくほく!」
口にすると、熱い汁が胃に染み渡った。
ジャガイモのほくほくとした食感と、お米の柔らかい粒、そして、しめじの香りが鼻の奥を通ってすごく美味しかった。
「本当はもう少し煮込んだ方が良いのかもしんないけど、ジャガイモが崩れそうだったから。」
説明する山野さんは、なんだか少し得意げで。
年上なのに、可愛いって思ってしまった。
「あ、鶏肉?」
「そ。茹でるのが面倒だから、チキンサラダをほぐした。」
めちゃくちゃ美味かった。
「お出汁が出てる!」
空っぽの胃が、もっと欲しいと訴えて、ぐぎゅるるって鳴った。
「アハハ!もっとあるから。」
「嬉しい!」
お鍋に入っていたお粥に、売ってあった茹で済みのジャガイモとチキンサラダ、ほぐして売ってあったしめじに、お醤油を少し入れて煮込んだのだそうだ。
「山野さん、天才かも!」
「だろう?」
優しい目に、ドキドキした。
ああ、好き。
すごく好き。
「帰ってくるとき、しんどかったろ?」
「うん。」
隠すことではないよね?
「電車でお客様に会って、送ってもらったんだ。」
「え、客?」
添えてもらったお水を一口のんだ。
「そう。昨日飲みに行った人。」
途端に山野さんは渋い顔をした。
「普通、なかなか会わないぞ?」
「だよね。おれもなんで松島さんが電車に乗ってたのか不思議で。」
でも、居てくれたからトイレまで間に合った。
そうじゃなかったら、ホームにぶち撒けるところだったんだもん。
「うーん。」
「ん?」
何か言いたげな山野さんを見て、おれは首を傾げた。
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