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次に目が覚めた時は、朝で。
冷えた朝の空気を胸に吸い込みながら周囲を見渡すと、山野さんからのメモが目に入った。
起きてテーブルのメモを手にすると、にまにまと笑いが出てきた。
だって、だって。
「おはよう、病院に行ってくる。好きだよ・・・だって!」
むふッ!
にやにやが止まらない。
山野さんの字、はじめて見たし、それが『好き』って!!
もう、天に昇っちゃいそう!
あぁ、もう!
好き好き好き!
おれも好きっ
「・・・ん?」
好きだよの後に、矢印がついてたから裏面を見た。
『うちの病院の敷居が高いようなら、目黒に同期が開業してるから、そこに受診してみたらどうかな。』
ふふ。
病院の住所まで書いてくれてる。
おれのお客様ではないから行きやすい。
山野さんの勤務する病院は、大きな総合病院(しかも救急指定)だ。
ちなみに大きな病院には、選定療養費っていうのがある。
厚生労働省が打ち出した制度で、初期の診療は地域の診療所で行って、高度な治療が必要な人は200床以上の病院で行うってやつで、大きな病院だと紹介状を持ってきていない患者さんには、選定療養費を取っても良いってなってる。
例えば重い病気や怪我の患者さんをたくさん診察したいのに、風邪とかちょっとした切り傷とかでおっきな病院に人が押し寄せたら、重篤な人を救えなくなる。そうなると救える命も救えなくなるから、敢えて選定療養費を病院は取って良いことになった。
病院によって、この選定療養費の金額はまちまちだけど、5000円とかが多い気がする。
通常の診察代にプラスされて請求されるから、軽症の人は断然、町の小さな病院にかかるほうが良いのだ。
基本は、かかりつけ医。
かかりつけ医の手に負えない、あるいは精密な検査を要する場合に、紹介状を出してもらって、大病院を受診するのが基本なのだ。
山野さんが紹介してくれたのは、いわゆる診療所だ。
これなら、受診しやすい。
・・・山野さん、ありがとう。
昨日より元気にはなったけど、山野さんの気持ちを汲んで、おれは会社を休んで目黒の病院に行くことにした。
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