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・・・あれ。
バッティングセンターを後にしたおれは、ふと気がついた。
『甲斐くん、これから甲斐くんは真っ直ぐに家に帰るんだ。』
・・・山野さん。何で、わざわざ人前で帰るように言ったのかな。
背筋がザワザワした。
誰かから見られているような気がしてならない。
・・・これ、つけられてる?
怖くて後ろを振り向けなかった。
松島さん、なのかな。
諦めきれずに、ついてきてる?!
どうしよう。
この場合の家って、おれ、どっちに帰ったらいいの?!
何も考えず、山野さんの家に行こうとしたけれど、それならわざわざ人前で言うだろうか。
それに、GPSの謎は解けていない。
もし、もしもだよ。
仮にGPSの人が見張っていたら、どうなんだろうか。
GPSを発見してからは、鞄から取り出して、自分の部屋に置いていた。
だけど、今日はワザと部屋から持ち出してバッティングセンターに向かった。
だって、松島さんが犯人だと思っていたから、GPSを置いて会いにいくのは警戒させてしまうと思ったからだ。
でも。
でもだよ。
GPSの犯人は別に居たとして、おれを付け回しているのであれば、今日はバッティングセンターへ追ってきたと考えられるよね。
・・・どうしよう。
振り向いたら、全て分かるのかな。
それとも、姿を見る事なく逃げられてしまうのだろうか。
山野さん、あえて言ったの?
あえて、自分の部屋に戻るように言ったのかな。
そして、実は山野さんもこっそりついてきてくれている・・・?
緊張して喉がカラカラだ。
コンビニ、寄ったら怪しまれるかな。
携帯だしたら、逃げられるかな。
・・・どうしよう、おれ。
どっちに帰ったほうが正解?!
駅は目の前だ。
いつもの山野さんなら、きっと先におれを帰らせはしないはず。
たぶん、バッティングセンターの出口までは、絶対に一緒に降りるはずなんだ。
だから、だから!
おれ、自分の部屋に帰ってみます!
決断したおれは、早足にならないよう気を付けながら改札を通った。
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