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決戦の舞台は、就職してから借りた、おれのお城だ。
今や殆どの荷物が持ち出されて、置いてあるのは家電やタンス、フィギュアなんかの今は使わないものばかりだ。
でも、山野さんに片想いをしていた頃の思い出も詰まっている。
到着するやいなや、おれはそんな感傷に浸る間もなく、しっかりと決戦の準備を整えた。
・・・うん、これでちょっとの間は堪えられるはず。
本当は、郵便受けに仕込んだカメラを回収しておきたかった。
でも、そんなことをしていたら犯人に捕まってしまう。
泣く泣く部屋に飛び込んだ。
そして、リュックから、ビニールに入れたGPSを取り出した。
時折、緑色の光が点滅するのは、通信をしているからだと思う。
何と通信しているのかは、想像したくない。
気味が悪くて仕方がなかった。
ピロン。
携帯が震えて、思わず飛び上がった。
『お疲れ。甲斐くん、今、いいかな?』
手がガタガタと震えた。
まさか、この人だったなんて・・・。
『恥ずかしいんだけど、ちょっと相談したいことがあって。近くに来てるんだ。』
緑色のランプが怪しく点滅した。
『良かったら、メシ食いながら話をしないか?』
ごくりと唾を飲んだ。
山野さん、そばにいますか?
おれ、会おうと思います。
『お疲れ様です。』
外で会う約束をしたら、車で連れ去られてしまうかもしれない。
なら、準備を整えたこの部屋で迎えることが、一番良いと思う。
『何もありませんけど、良かったらウチに来ませんか?』
震える指で送信した。
・・・山野さん!
おれ頑張ります。
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