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はぁあああうん、そうだったーーーーッッ!!
甲斐はゆっくりと膝から床に崩れ落ちた。
脱衣所から現れた富永さんは、力士の格好をしていたからだ。
裸体にふんどしを巻いた(正確には、まわし)着ぐるみで出てきた。
「ええ?!」
山野さんが引いた。
課長が後ずさった。
寺田さんが固まった。
可愛いピンクの乳首が痛々しい。
黒いぷにょぷにょの まわしが富永さんの太ももくらいで揺れている。
「〜・・・甲斐ぃぃい〜ッ!!」
地獄の底から這うような声が、可愛い力士姿の富永さんから発せられた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!」
生まれて初めて土下座した。
「あ、あの!富永さんは悪くなくて!」
「富永さん、ふざけるのはやめなさい!」
課長の叱責とおれの声がかぶった。
「ふ、ふざけてるのは課長もだ!その格好は何ですか!」
涙目の富永さんが叫んだ。
「あ、あの!課長は悪くなくて!」
今度は寺田さんがフォローに回った。
「寺田さん、可愛すぎる!そんな可愛い姿をみんなに見せちゃダメだ!」
「・・・富永さん。」
富永さんに褒められて思わず頬を押さえる寺田さんに、課長が慌てた。
「寺田さん!そんなことないから!」
!!
心臓が止まるかと思った。
寺田さんの顔から、一切の感情が失われたからだ。
「・・・え?」
「いやいや、そういうことじゃなくて!逆に見せたいというか、自慢したいというか!」
チンピラ姿の課長は、前屈みになって必死にフォローした。
ここぞとばかりに富永さんが被せた。
「寺田さんは、本当に可愛い!優しくて気が利いてて、なくてはならない存在なんだ。」
「いやいや、富永さん、そんな。」
謙遜してるけど、寺田さんめちゃくちゃ嬉しそう。
逆に課長は微妙な顔をしていた。
おれは土下座の姿勢から、そんな3人を見上げている。
隣にしゃがんだ山野さんが、ボソリと呟いた。
「ハロウィンかよ・・・。」
それだ!
スクッと立ち上がった。
「あの!ハロウィンなんです!!」
富永さんの力士服を掴んだ。
「富永さんがこの格好してるのは、ハロウィンパーティーしようねって言って準備してただけで、これが普段着じゃないですから!」
富永さんの目が大きくなった後、うんうんと頷いた。
「そ、その通り!寺田さん、俺の普段着じゃないからね!」
「そりゃ普段着じゃないでしょうけど。」
富永さんに向かい合った。
「課長も寺田さんもハロウィンに参加します。」
「ええ?!」
背中から悲鳴が上がったけど、綺麗に無視した。
「だから、買い出しに行ってきます。」
山野さんがふらりと立ち上がった。
「俺も行く。」
良かった、これでお話が出来る。
山野さんに富永さんがストーカーじゃないって説明したかったから、よかった。
そしておれたちは置いていく。
力士、チンピラ、警察官の3人を。
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