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富永は、渾身の力を込めて床を蹴った。
おはよう靴下野郎が手を伸ばす先には、ビニール紐の玉が転がっている。
絶対に掴ませないし、なんなら自分が奪い取って、おはよう靴下野郎を拘束するつもりだ。
「・・・させるかッ!!」
野郎の手首を掴んで引っ張った。
「うわぁ?!」
勢いで体勢の崩れた野郎は、クローゼットに頭を突っ込んだ。
富永は、その掴んだ手首を捻り上げて、野郎を目いっぱい押さえ込んだ。
「やだ!離せッ!!」
「離さねぇ!」
リュックが邪魔で、ひとりでは縛りきれない。
「食べないで!!」
「何を?!」
ジタバタと暴れる野郎は、ソコソコ筋肉があるらしい。
日頃からそれなりに鍛えてきた富永も、手を焼いた。
「わ、わたしはいいけど、甲斐殿は食べないでッ!」
・・・え?
富永は、目をパチパチさせた。
甲斐どのは食べないでって言った?
食べるとは、生命活動に必要なエネルギーを摂取すると言う意味だ。
だが、隠語としてセックスをすることを、食べるもしくは食うと表現することがある。
女の子が「もう、コレ、食べちゃいたい♡」とか、
「ねぇ、私のこと、食べて♡」なんて上目遣いでおねだりしてきたら、マグナム予備軍がマグナムに昇格する。
つまり、今回の『甲斐殿は食べないで!』とは、甲斐くんとセックスしないでという意味だと、富永の結論が出た。
ええ?!
「やるわけないじゃん!!」
ゾッとした。
あの甲斐くんとセックスするだとぉ?!
しかもその前に、『わたしはイイけど』と言ったよね?
つまり、俺とセックスして良いぞと言ったわけで!!
思わず手の力が緩んだ。
その瞬間、野郎は振り返ると、思いっきりタックルしてきた。
「グハッ!」
ちょうど鳩尾に入った頭は、そのままの勢いで俺の体を押していく。
衝撃で力の抜けた両足は、後退を迫られており、痛みで脂汗が噴き出た頭で思い出すと、この背後には甲斐くんのベッドがある。
つまり、つまり!
俺が食われる!!
野郎のリュックを渾身の力で掴んだ。
こ、んの・・・っ
「おはよう靴下野郎ッ!!」
体勢を入れ替えた。
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