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「な、・・・なんで。」
ずっと見てたのは、寺田さんを見てたってことで。
ずっとおれに飲みの誘いをしてたのは、おれに牽制かけたかったからってこと?
じゃ、じゃあ。
「えっと、なんで家に?」
「それは・・・。」
課長がゆっくりと座布団に座り直した。
「体調崩されてたでしょう?心配だったのと、もしかしたら寺田さんがお見えになっているかと思って・・・。ただの嫉妬です。」
・・・。
「嫉妬、ですか。」
「醜いとは自分でも思うのですが、いてもたってもいられませんでした。」
・・・。
襖の奥で吹き出す音がした。
と、同時に誰かの背中を叩く音もしている。
「あの・・・電車で会ったのは?」
「偶然ですね。でも寺田さんとご一緒ではなくて、毎日ホッとしていました。」
・・・。
「え、じゃあ、昨日は?」
「駅で会った件ですか?医師会への定期訪問です。偶然お会いしてびっくりしました。」
待って、待って待って!!
「薔薇置いたでしょ?!」
「薔薇?どなたにですか?寺田さんに差し上げるのではなく?」
あ・・・。
この人、違う。
ストーカーじゃない!!
ポケットに入れたままの、昼間の手紙を取り出した。
・・・字が違う気がする。
課長の字は、少し丸っこい。
でも確か、あの写真に付いていた手紙は!
「角ばってた・・・。」
「甲斐さん?」
立ち上がって、隣の襖を開けた。
「山野さん、この人、ストーカーじゃない!」
「「ブハッ!!!」」
そこには涙を流しながら腹を抱えて笑う山野さんと、もうひとりの男性。
そして顔を真っ赤に染めた寺田さんが口元を押さえて、開け放たれた襖から課長を見つめていた。
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